15372.jpg
「ライブに出たくないから・・」アイドルが「うその被害届」を出したら軽犯罪法違反?
2014年11月07日 12時47分

アイドルグループ「CoverGirls (カバーガールズ)」のメンバーの女性(22)が、ライブを休むために「うその被害届」を警察に提出していたとして、話題を呼んだ。報道によると、このメンバーは10月19日夜、大阪市内の自宅近くで「性的被害にあった」と府警に届けた。ところが、その後の警察の調べに対して「うそだった」と説明を一転。「ライブに出なくて済むと思った」と話したそうだ。

グループの運営者は当初「ストーカー被害にあった」と発表したが、10月23日のブログで事情を報告。「発表に関し、事実と違うのではないかと報道機関より取材がありました。内容が内容ですので、現在慎重に事実確認を進めておりますことを、ご報告させていただきます」と説明している。

この女性はすでに「被害届」を取り下げたという。一般論として、「うその被害届」を提出していたとしたら、それは何らかの犯罪にあたる可能性があるのだろうか。刑事事件にくわしい星野学弁護士に聞いた。

アイドルグループ「CoverGirls (カバーガールズ)」のメンバーの女性(22)が、ライブを休むために「うその被害届」を警察に提出していたとして、話題を呼んだ。報道によると、このメンバーは10月19日夜、大阪市内の自宅近くで「性的被害にあった」と府警に届けた。ところが、その後の警察の調べに対して「うそだった」と説明を一転。「ライブに出なくて済むと思った」と話したそうだ。

グループの運営者は当初「ストーカー被害にあった」と発表したが、10月23日のブログで事情を報告。「発表に関し、事実と違うのではないかと報道機関より取材がありました。内容が内容ですので、現在慎重に事実確認を進めておりますことを、ご報告させていただきます」と説明している。

この女性はすでに「被害届」を取り下げたという。一般論として、「うその被害届」を提出していたとしたら、それは何らかの犯罪にあたる可能性があるのだろうか。刑事事件にくわしい星野学弁護士に聞いた。

●軽犯罪法違反に問われる可能性も

「実際には発生していない犯罪や災害を公務員(警察)に申し出た場合、軽犯罪法違反に問われます(軽犯罪法1条16号)。

今回のケースでは、アイドルグループのメンバーがライブを休みたくて、警察に『性的被害にあった』と被害届を出しているので、軽犯罪法違反によって、『拘留または科料』の処罰を受ける可能性があります」

星野弁護士はこう指摘する。説明に出てきた「拘留」とは、刑事施設に1日以上30日未満の間、拘置される刑罰。「科料」は、1000円以上1万円未満を徴収される刑罰だ。

しかし、星野弁護士によると、それだけで済まないかもしれないという。

●「偽計業務妨害罪に問われる可能性も大きい」

「今回のようなケースでは、軽犯罪法違反に問われるだけでなく、もっと罪が重い刑法上の偽計業務妨害罪(刑法233条)に問われる可能性も大きいでしょう」

偽計業務妨害罪とは、人をあざむくように企んで、業務を妨害する犯罪のことだ。法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」と軽犯罪法違反よりもずいぶんと重い。どうして、そうなるといえるのだろうか。

「アイドルグループのライブは、いろいろな人が関わる共同作業です。

実際にライブに出演するのはアイドルグループのメンバー自身ですが、チケット販売や宣伝、会場設営などを行うのは『ライブ主催者』です。また、所属事務所にはライブ日程を調整するなどの役割があります。

そんな共同作業において、メンバーのひとりが『うその被害届』を出したら、どうなるでしょうか。他のメンバーや主催者、所属事務所など、ほかのみんなが迷惑することになります。場合によっては、コンサート全体が中止になるかもしれません。

したがって、そのメンバーが、他の人たちの業務を妨害したといえる可能性があるのです」

その人が「休む」だけなら、それほど大事に至らないのでは?

「アイドルグループはメンバーの個性が重視されますので、他の人が代わりを務めるというわけにはいきません。お気に入りのメンバーが所属するアイドルグループのライブに行ったところ、その人がいなければ、やはりファンはがっかりしますよね。仮に、チケットの払い戻しなどをすれば、被害額も大きくなるでしょう」

星野弁護士はこのように説明していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る