14952.jpg
芸能人のデート現場をツイッターで「暴露」 カフェ店員が訴えられる可能性はあるか?
2014年02月12日 15時51分

著名人のデートを目撃した飲食店やホテルの従業員が、その様子を思わずツイッターで流してしまい、騒動となることがときどきある。1月には、タレントの水沢アリーさんとJリーグ・浦和レッズの槙野智章さんのデート現場を目撃したカフェの店員が、二人が来店したことをツイートして、騒ぎになった。

J-CASTニュースの記事によると、年明け早々の1月4日、広島県内の「ドトール」の店員たちが、「やばいやばい サッカー選手のまきのとモデルの水沢アリー来た!」などと、ツイッターに書き込んだのだという。その後、スポーツ新聞が二人の熱愛を報じたこともあり、水沢さんは交際を事実上認めたが、ドトールコーヒーは騒動を受けて、店員らを処分すると表明した。

たまたま有名人を見かければ、つい興奮してしまう気持ちはわからないでもない。だが、彼らにもプライベートな時間はあるはずだ。今回のように有名人の「お忍びデート」の現場をツイッターでさらした店員は、その有名人から「慰謝料を払え」と訴えられる可能性があるのだろうか。石井邦尚弁護士に聞いた。

著名人のデートを目撃した飲食店やホテルの従業員が、その様子を思わずツイッターで流してしまい、騒動となることがときどきある。1月には、タレントの水沢アリーさんとJリーグ・浦和レッズの槙野智章さんのデート現場を目撃したカフェの店員が、二人が来店したことをツイートして、騒ぎになった。

J-CASTニュースの記事によると、年明け早々の1月4日、広島県内の「ドトール」の店員たちが、「やばいやばい サッカー選手のまきのとモデルの水沢アリー来た!」などと、ツイッターに書き込んだのだという。その後、スポーツ新聞が二人の熱愛を報じたこともあり、水沢さんは交際を事実上認めたが、ドトールコーヒーは騒動を受けて、店員らを処分すると表明した。

たまたま有名人を見かければ、つい興奮してしまう気持ちはわからないでもない。だが、彼らにもプライベートな時間はあるはずだ。今回のように有名人の「お忍びデート」の現場をツイッターでさらした店員は、その有名人から「慰謝料を払え」と訴えられる可能性があるのだろうか。石井邦尚弁護士に聞いた。

●人には「私生活をみだりに公開されない権利」がある

「このようなケースは、プライバシー権の侵害として、民法上の不法行為(民法709条)に該当し、損害賠償が認められる可能性があります。

プライバシー権は、『私生活をみだりに公開されない』法的な保障ないし権利として、裁判を通じて確立されてきたものです」

石井弁護士はプライバシー権についてこう解説したうえで、次のようにつけ加える。

「ただし、『プライバシー権を少しでも侵害する表現はすべて許されない』ということになれば、今度は逆に、表現の自由が制限されすぎてしまいます。

そこで裁判では、ある事実について『公表されない利益』と『公表する理由』とを比較考量して、『公表されない利益』のほうが重いと判断した場合に限って、不法行為になるとされています」

プライバシー権を侵害することが許されるような「公表する理由」とは、どんなものだろうか?

「その判断をする際には、公表の理由が『公共の利害』に関する事実であるかどうかが、重要な要素となります。

たとえば、政治家などの『公人』については、私事を公表しても、このような理屈により、プライバシー権侵害とはならないケースが少なくありません」

●芸能人には「プライバシー権」がない?

たしかに、なんでもかんでも「プライバシー権の侵害」とされたら、政治家のスキャンダル報道などはできなくなるだろう。芸能人のプライバシーについてはどうだろうか?

「政治家や芸能人のような公の人物については、『一定限度においてプライバシー権を放棄しているとみるべきだ』という見解もあります。

裁判例でも、個別の事例に基づく判断ですが、芸能人が一定の限度でプライバシー権を放棄している、あるいは私事の公表を容認していると判断したケースがあります」

そうなると、芸能人には「プライバシー」はないのだろうか?

「とはいえ、こうした見解や裁判例でも、芸能人が一律・無限定にプライバシー権を放棄しているなどと認めているわけではありません。

また、著名人という点では同じでも、自ら私事を公開して積極的にメディアに登場している『芸能人』と、そうではない『スポーツ選手』とでは、やや異なった評価がなされることは、十分あり得ます。

たとえば、芸能人のプライバシー権は侵害していないが、一緒にいたスポーツ選手のプライバシー権は侵害している、と評価される可能性もあるのです」

それでは、今回のケースは?

「プライバシー侵害について損害賠償が認められるかどうかは、個別の具体的な事情に応じてケース・バイ・ケースで判断することなので、決定的なことは言えません。

ただ、仮にこの事例が裁判となったとしたら、プライバシー権侵害と判断される可能性は十分にあると思われます」

石井弁護士はこのように見解を述べたうえで、「最近は、一般の人々がネットでうっかり他人のプライバシーを公開してしまうという状況も多々見られます。SNSは速報性と拡散力を備えたメディアでもありますから、情報を書き込む際には十分注意したほうが良いでしょう」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る