犯罪・刑事事件の解決事例
#慰謝料・損害賠償 . #人身事故

高次脳機能障害の傷害を負った後、死亡したケース

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長澤 弘 弁護士が解決
所属事務所長澤弘法律事務所
所在地宮城県 仙台市青葉区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

Aは80歳でしたが、自転車に乗ることが好きで、よく自転車で出歩いていました。ある日、道路脇のショップで買い物をして、家に帰ろうと道に出たところで、Aは折から走行してきたBの運転する自動車に轢かれ、前頭葉および側頭葉に重い挫傷を負ってしまいました。病院に担ぎこまれたAは、日を重ねるに従って病状が悪化し、ほとんど正常な意思活動が不可能な状態に陥りました。その後、脳神経外科のある甲病院に転院し、C医師により正式に脳挫傷のリハビリを受け、半年後に甲病院を退院し、乙療養施設に入所することができました。それから半年後、脳挫傷の後遺症と思われる嚥下障害による肺炎を引き起こし、死亡するに至りました。

解決への流れ

当事務所がこのケースの依頼を受けた時、Aについての書類は最初に入院した病院での診断書と、脳神経外科のある病院のC医師の診断書だけでした。通常、交通事故による高次脳機能障害を負った場合は、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の傷害に関する医学的意見、日常生活状況報告書等が作成され、その上で損害賠償の示談交渉がなされるのが常です。しかし、このケースは、前述のように単なる診断書だけが作成されており、前述の各書類は全く作成されていませんでした。当事務所は、Aの子供Dから依頼を受けましたが、Dは父親であるAが、脳挫傷で以前と全く変わってしまったのに、何らの賠償がなされないことに疑問を持ち、なすすべもなく相談に来たのでした。当事務所では、まず、交通事故による損害賠償請求の時効を止めるために、裁判所に損害賠償請求の訴訟を提起しました。しかし、高次脳機能障害についての後遺障害診断書や頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の傷害に関する医学的意見、日常生活状況報告書等が全く作成されていなかったので、裁判所は損害賠償請求訴訟の損害額の認定に難色を示しました。当事務所は、思い余ってAが死亡した金沢に出かけ、C医師に直談判をし、後遺障害診断書や頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の傷害に関する医学的意見、日常生活状況報告書等を作成してもらい、自賠責の保険会社に提出しました。Aの死亡が、本件事故によるものか否か争われ、最終的に事故と死亡の因果関係は不明とされましたが、自賠責保険で金3500万円の損害賠償が認められました。

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長澤 弘 弁護士からのコメント

当初、相手方保険会社の提示額が傷害だけの金60万円であったことから、当事務所の活躍がなければ、Aの遺族は金3500万円余の損害賠償を受け取ることは到底できなかったでしょう。交通事故のエキスパートを自負する当事務所としても、会心の事件であったといえます。