犯罪・刑事事件の解決事例
#過失割合 . #慰謝料・損害賠償 . #人身事故

過失割合90%のところを50%にまで下げることができた件

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草道 倫武 弁護士が解決
所属事務所町田シビック綜合法律事務所
所在地東京都 町田市

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

依頼者の運転する自動車が自宅の駐車場から市道に出ようとしたところ、依頼者の進行方向左方から走行して来た相手方の運転するバイクが、依頼者の運転する自動車の右側面に衝突しました。相手方は大きな傷害を負い、後遺障害等級11級にもなりました。損害額の総額は1500万円を下りません。相手方から、その損害を求めて提訴がありました。いわゆる赤本や判例タイムスなどによると、本件の過失割合は、基本的に、依頼者が90、相手方が10というものです。しかし、依頼者は、相手方が猛スピードで衝突してきたのだから、自己の過失が90%というのは不当であるという意向でした。なお、依頼者は、任意保険に入っていないために、過失割合が10ポイント異なるだけでも150万円以上も支払う額が変動するため、依頼者にとって、過失割合が非常に重要な意味を持ちました。

解決への流れ

受任後、依頼者側の立場を丁寧に説明し、また現地の写真や動画撮影を行ったり、相手方の言い分と客観的な証拠との矛盾点を指摘したりするなどをしました。それが功を奏し、判決にて、過失割合は依頼者・相手方双方それぞれ50とされ、依頼者の過失が40ポイントも下がりました。そのため、依頼者が支払うべき賠償額も600万円以上も下げることができました。

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草道 倫武 弁護士からのコメント

本件の過失割合の基本値は、赤本や判例タイムスによると、依頼者側が90という圧倒的に不利な立場にありました。しかし、依頼者の言い分は、既に駐車場から市道に出ていたところを、猛スピードを出していた相手方のバイクに衝突されたというものでした。一方で、相手方は、どんなに早くても時速60Kmもスピードは出していないというものでした。そこで、実況見分調書を読み込んだり、現地の調査に出向いたりして調べました。実況見分調書を見ると相手方バイクの擦過痕の記録があり、それから逆算した衝突当時の相手方の時速と相手方が負った傷害の結果からすれば、相手方の主張する時速60Kmでは色々なことの説明ができないことが分かりました。また、実況見分調書などから読み取れる位置関係を考慮すれば、相手方の時速は60Kmどころか、80km以上であることも分かりました。すなわち、事故が発生した市道の法定制限速度は時速40kmなので、相手方のスピードは時速40kmも速度超過していたのです。その上、相手方の走行途中において、事故現場の少し手前には信号がありました。相手方は青信号で通過したと述べていますが、時速80kmを前提とすると、相手方は、黄色の信号又は赤信号を無視した可能性が高いことが分かりました。この相手方による赤信号無視の自体は、証拠がないことから、裁判所は明確には認定しませんでした。しかし、時速40km超過だけでは、相手方の過失を40ポイントも上げる根拠にはならないので、事実上、相手方の信号無視も認めた結果だろうと推察できます。丁寧に証拠を確認することにより、相手方の言い分の矛盾点を指摘することができたことによる、過失割合が大幅に減らすことができたことは、依頼者にとっても不当な結果を受け入れずに済むことができました。