犯罪・刑事事件の解決事例
#労災認定

運転手がタンクの倒壊に巻き込まれた死亡労災事件で3000万円で和解した事案

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根岸 秀世 弁護士が解決
所属事務所大分共同法律事務所
所在地大分県 大分市

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

【事案】養鶏場にトラックで餌を配達する仕事をしていたHさんが、トラックから餌をタンクに移す作業中に、老朽化したタンクが倒壊して下敷きになり、亡くなった事案【相談内容】長いこと誠実に勤めてきたのに、通夜と葬儀の席での会社の対応があまりに不誠実ということでご遺族から相談があり、受任。

解決への流れ

【訴訟】労災保険などから受領した分を控除した損害総額4500万円を請求し、3000万円と会社側の謝罪で和解。

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根岸 秀世 弁護士からのコメント

雇主は、職場の環境を整えたり安全教育をするなど、働く人の安全に配慮する義務があり、通常の労災では、そのような雇主の義務を果たしていないじゃないか!ということを主張するのですが、本件は、通常の労災とは少し異なり、給餌タンクがぼろぼろの危険な状態にあったのにそれを放置したということで、「土地の工作物の占有者」(民法717条)の責任を追及した点に特徴があります。土地の工作物(本件では給餌タンク)に「瑕疵」つまり欠陥が認められれば、それを借りて使っている人(占有者)が責任を負い、占有者が事故の発生防止措置を講じていた場合は所有者が責任を負うということになって、工作物責任は、被災者側からすると、責任追及しやすい法律構成です。ただし、それには工作物に欠陥があることを証明しなければいけないので、労基署の報告書(災害調査復命書などといいます。)を事前に取り寄せたり、事故現場に乗り込んで写真を撮るなど、証拠の保全をした上で裁判を起こしています。逆にいうと、欠陥を隠ぺいされたりすると追及が難しくなるパターンです。その意味でも、早い段階での相談が重要です。この事案では、通夜や葬儀の席での会社関係者の態度に遺族が腹を立てて事故から間を置かずに相談に来られたので、タンクの欠陥の証拠を比較的スムーズに押さえることができました。