犯罪・刑事事件の解決事例
#労災認定

年配の労働者の労災事件で「加齢が原因」との会社側の主張を覆した事例

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根岸 秀世 弁護士が解決
所属事務所大分共同法律事務所
所在地大分県 大分市

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

Hさんは60歳代の男性で,波消しブロックを制作する会社で働いていましたが,作業中に型枠が崩れて人の背丈ほどの高さから転落し,後頭部と頸部を打って1カ月半ほど病院に通院し,その後,頸椎椎間板ヘルニアと診断され,症状固定後に後遺障害等級12級と認定されました。事故後は首や手足がしびれて仕事ができなくなりましたが,会社は何もしてくれないということで,私のところに相談に来られました。

解決への流れ

結局,訴訟となりましたが,争点は,後遺障害(頸椎椎間板ヘルニア)が労災事故によるものか,加齢によるものかという点でした。被告の代理人は医療過誤訴訟に精通した弁護士で,大量の医学文献を証拠として提出して医学的な議論を仕掛けてきたため,私も対抗上整形外科関係の医学文献を買い込み,負けずに医学論争をして,最終的には,後遺障害が労災事故によるものであることを認めさせて,和解決着しました。

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根岸 秀世 弁護士からのコメント

この事件も,いわゆる「大きい」労災事件ではありませんが,大変記憶に残り,勉強になった事件です。HさんにはCT画像上明らかに加齢による脊柱管狭窄が認められていたので,被告の(Hさんが若ければ争点にならなかったであろう)「加齢が原因だ」という主張もそれなりに説得力があり,反論のために,「労災補償障害認定必携」という労災後遺障害認定のハンドブック(これは行政関係者も使用しているもので,よく交通事故に特化した弁護士事務所のHPなどにやたらと詳しい交通事故の障害認定の解説が書いてあったりしますが,そのタネ本です。)や整形外科関係の書籍を読み込みました。おかげで,その後,別の交通事故で脊椎損傷の後遺症について争った際にこの時の勉強がとても役に立ちました。