この事例の依頼主
20代 女性
相談前の状況
1年半、受付等の業務に従事してきた歯科医院から、ある日突然「態度が悪い」などとして解雇された事案です。聞いてみると残業代についても定額の「夜間手当」が支払われているものの、正しく支給されていないことが分かりました。そこで、解雇の無効を争い、職場復帰を求めるととともに未払いの残業代を請求することとしました。
解決への流れ
内容証明を送ったところ、相手方に代理人が就き、残業代の未払いについてはある程度見解の摺り合わせをすることができました。しかし、相手方は依頼者の職場復帰を認めず、かつ解決金についても少額の提示しかしませんでしたので、やむを得ず労働審判を申し立てました。すると、相手方は解決金の提示額を倍増させて和解を求めてきました。依頼者も基本的には早期解決を希望していたので、これに応じて和解することとし、労働審判は取り下げました。
相手方は労働審判の期日に出頭して歯科医院を休業することがよほど嫌だったと見えて、審判申立後に一気に態度を軟化させました。交渉による和解は、解決時期を早めること、とことん争うときはかえって不利な結果となる場合もあることを踏まえ、弁護士としてはときに強く示談を勧めることもありますが、この事案は徒に交渉を長引かせず、法的措置に及ぶことを選択した判断が適切であった例といえます。