犯罪・刑事事件の解決事例
#運送・貿易

契約書がない中での事業譲渡合意を反故にされたものの、任意交渉により合意解約で無事決着へ。 【事業譲渡】【合意解約】

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寺田 弘晃 弁護士が解決
所属事務所神楽坂総合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

ご依頼者様の経営する運送会社は、財務状況の悪い相手方の会社の事業再生の一環として、相手方会社の事業の一部を譲り受け、かつ、相手方会社の代表者に対しては、譲受事業から生じた利益から給与を支給する旨の事業譲渡の合意をしました。ご依頼者様が、当該事業譲渡合意に基づき、事業資産の移転準備等を行っていた矢先、相手方会社は方針を転換し、債務整理を行うこととなり、相手方代理人より資産返還等の要求がありました。ご依頼者は、相手方代理人との交渉対応に困り、当事務所へご相談にいらっしゃいました。

解決への流れ

相手方代理人は、事業譲渡契約書がないことを良いことに、当方から支出された給与や労力を無視した資産返還を要求してきました。しかしながら、当方は、事業譲渡合意後の資産売却益、相手方代表に支払った給与、相手方資産を保管した倉庫代等の細かい経費を、裏付け証拠を添付しながら算出し、当該事業譲渡合意があることを前提に合意解約という形で決着するに至りました。これにより、ご依頼者様の損失を補填しながら、将来的な否認権行使のリスクを最低限に抑えることに成功しました。

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寺田 弘晃 弁護士からのコメント

財務状況が悪い相手から会社資産や事業を買取ると、否認権や債権者取消権のリスクを抱えることになります。加えて、本件ではそのようなリスクのある契約にもかかわらず、当事者間できちんとした契約書を準備していませんでした。そのため、相手方が急に元々の約束を反故にし、相手方弁護士からは要らぬ追及を受ける羽目になってしまいました。本件では、過去の証拠関係を丁寧に拾い集めて、交渉することで、ご依頼者様は痛手を被ることなく、合意解約にこぎつけることができました。もっとも、紛争の前に一度ご相談いただき、契約書を作成することができれば、よりリスクを抑えることができたと思われます。起きたトラブルを解決するのも我々弁護士の業務ですが、そもそもそのようなトラブルが起きないようにするのも我々の重要なミッションの1つであることを改めて感じた案件でした。