この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
依頼者は被相続人の孫で(代襲)相続人で、被相続人とはやや疎遠でしたが、被相続人が亡くなってしばらく経った後、被相続人が亡くなる少し前に被相続人名義の不動産がある親族に無償で贈与されていたことが判明しました。晩年の被相続人の認知状態を考えると、本当に贈与の意思があったのか疑問でした。
解決への流れ
被相続人の晩年の生活記録(入居施設や入院病院の資料)などを取り寄せて検討した結果、被相続人の認知症は相当に重度であったとの感想を持ちました。そのため、贈与が無効であることを前提に遺産分割の交渉を打診しましたが、相手は応じなかったので、裁判所に訴訟を提起しました。訴訟では、膨大な証拠を提出し、贈与が無効であることを立証した結果、裁判所は当方の主張を全面的に認め、相手も白旗を上げる形で、贈与無効を前提とする裁判上の和解となりました。
遺言の有効・無効の問題と同じように、被相続人の晩年の法律行為(贈与や各種契約)は、その有効性が問題となることが多いです。これらの証明は過去の各種資料をもってするしかありません。その際の資料収集や検討の着眼点には、一定の「慣れ」が必要です。この分野に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。