この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
相談者様は、会社の海外留学支援制度を利用して、海外の大学院に留学していましたが、諸事情により退職を希望しました。これに対し、会社は、留学費用全額のほか、留学期間中の給与の即時返還を求め、これが解決されない限り退職は認められないと回答しました。退職すら認められないことに危機感を感じた相談者様がオンラインで相談に来られた事例です。
解決への流れ
留学費用の返還については会社の留学支援規程にその旨の定めがあったため、返還に応じることはやむを得ませんでしたが、一括で支払えるような金額ではないため、分割払いの交渉を行いました。他方、給与については就労の対価であり、これは退職したとしても返還しなければならない理由はないことから、断固として拒絶しました。また、退職に関しても、期間の定めのない労働契約においては労働者はいつでも退職できるとされており、すでに退職届も提出済みであったことから、早急な退職手続の履行を会社に対して求めました。退職についてはすぐに応じていただけたので、これによりその他の交渉も腰を据えて行うことができるようになったと思います。結果的に、給与の返還にも一切応じることなく、留学費用の返還についても概ね当方の希望する分割方法にて合意に至ることができました。
本件では、留学支援規程に定める返還に応じざるを得ない事案でしたが、判例上、「留学」とは名ばかりの海外労働者派遣にほかならない場合、留学費用の返還は必要ないとした事例もあります。純粋なスキルアップのための留学なのか、それとも海外における就労の一環なのかの判断には専門性も伴いますので、同様の事案でお困りの際はまずは一度ご相談ください。オンラインでの相談も承っております。