この事例の依頼主
男性
相談前の状況
「遺言によりすべての土地・建物が第三者に移転登記されてしまった。相手方は、裁判所で検認された遺言書であることを理由に交渉に応じない。」というご相談。ご相談者さまは唯一の法定相続人であり、他の事務所での相談では、遺留分侵害額請求を検討していました。
解決への流れ
遺言書を確認したところ、対象の財産の部分や日付の部分が、その他の部分と明らかに筆跡が異なっていました。また、その日付の当時、本人は相当程度に認知症が進んでいたことや、土地・建物を譲り受けた第三者が、その頃に頻繁に本人の入居している老人ホームを訪れていたこともわかりました。そこで、遺留分侵害額請求ではなく、遺言無効確認の訴えを起こし、最終的にはご相談者さまのもとに土地・建物の登記を移転することができました。
★遺言書を無効として土地・建物を取り戻すことに成功!★→遺言書の検認手続きは遺言書が本人の意思で書かれたかどうかまでも明らかにするものではありません。検認されたかどうかにかかわらず、遺言書の内容に不審な点があれば、弁護士に相談することをお勧めします。遺言無効確認の訴えはさまざまな調査と知識を要し、決して簡単なものではありませんので、そのような経験を有している弁護士に相談することをお勧めします。なお、このケースのように遺産中に占める不動産の価格が大きい場合、相手方に代償金を支払う資力がなければ、不動産から立ち退かせて売却させることもあります。不動産の価格評価は難しいものですので、この点の処理に精通している弁護士に相談することをお勧めします。