この事例の依頼主
女性
相談前の状況
「父を引き取った弟夫婦が父の死亡直前に預金を全額引き出した。父親が払い戻したのでまったく知らないと言っている。」とのご相談。金額や状況から見て、父親自身の払戻とは考えられないケースでした。
解決への流れ
★預金の大部分を遺産に持ち戻すことに成功!★→協議に応じないことから調停を申し立てたところ、相手方は最初は父親による払戻を主張していました。しかし、さまざまな状況から見て不自然であることを指摘したところ、その主張を撤回し、夫婦で払い戻したことを認めました。結果、払い戻した金額のうち、介護のために相当と認められる範囲のみ除外し、残りは相手方の現金として遺産分割調停を成立させることができました。
相続人の1人が被相続人の財産を管理しているケースは多くみられ、たいていの場合、その財産の使途が不明となっています。このような場合、遺産分割時に存在しない遺産は遺産分割調停の対象とならないのが原則であることから、追及する側は財産の存在や使途を証明しなければならず、不利な立場となります。このような場合であっても、金額や状況から相続人が払い戻してまだ現金として管理していることを主張・立証できれば、遺産分割調停の対象とすることは可能です。また、相続人が使い込んでしまっていることが証明できれば、別の訴訟を提起して返還を求めることも可能です。