犯罪・刑事事件の解決事例
#相続登記・名義変更

死亡した従業員の給与等の振込先が問題になった事例

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関 範子 弁護士が解決
所属事務所やよい共同法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

私が経営する会社の社員が、不慮の事故で死亡しました。これから、当該社員の給与、退職金、弔慰金を支払う予定なのですが、遺族である奥様から、「本人の銀行口座に振り込んで欲しい」と言われています。そのとおりにして良いのでしょうか。なお、弊社の規程では、社員の権利に属する金品は当該社員の口座に戻すか、あるいは労働基準法施行規則第42条及び第43条に定める遺族の口座に支払うこと、となっております。

解決への流れ

奥様が「本人の銀行口座に振り込んで欲しい」とおっしゃっているところを見ると、社員の死亡の事実をまだ金融機関に届けておられないようでしたが、人が死亡したら、その人名義の銀行口座は使えなくなるとよく聞きますし、奥様の希望だからといって、本当に全て死亡した社員名義の口座に振り込んでよいものか、不安でした。弁護士に相談したところ、金員の種類によって、死亡した社員名義の口座に振り込んでよいものと、そうでないものとがあるとのことでしたので、早まらなくて良かったと安心しました。

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関 範子 弁護士からのコメント

本件相談では、雇っている社員が死亡した場合に、①給与②退職金③弔慰金を、当該社員名義の口座に振り込んでも良いか否かが問題になっています。この点、①死亡した社員の給与は相続財産となりますので、当該社員名義の口座への振込で問題ありません。②退職金については、場合分けが必要です。まず、死亡した社員が生前退職予定であって、たまたま退職金支給前に死亡した場合は、未支給の退職金は「生前退職金」となり、やはり相続財産となりますので、これも死亡した社員名義の口座への支払いで構いません。次に、「退職金」が、当該社員の死亡により支給される「死亡退職金」である場合ですが、「死亡退職金」については、会社に、これを遺族に支給すべきものとの規定があるのであれば、相続財産性が否定されることから、本人口座ではなく、労働基準法施行規則第42条、第43条で定められた遺族の口座に支払うことが必要です。最後に、③弔慰金ですが、これも一般的に相続財産とは言えませんので、会社の規程に従い、労働基準法施行規則第42条、第43条で定められた遺族の口座に支払う必要があります。