この事例の依頼主

40代 女性

相談前の状況

1年ほど夫と話し合った末,なんとか協議離婚し,年金分割もしてもらう約束をしました。夫とは顔を合わせたくないのですが,年金分割の手続のためには,夫と一緒に年金事務所にいかないといけないと言われています。従うしかないのでしょうか。

解決への流れ

離婚協議書に年金分割についての条項がありましたが,公正証書ではなかったため,夫婦が揃って年金事務所にいき手続をしなくてはなりませんでした。もっとも,私は夫と同席したくなかったので弁護士に代理人となってもらって手続をしてもらうことができました。

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齋藤 毅 弁護士からのコメント

婚姻期間中,厚生年金に加入していれば,離婚から2年以内であれば,相手方に対し年金分割を求めることができます。年金は各々が加入していた期間等(厚生年金記録)に応じて受給額が変わりますので,例えば,専業主婦として会社員の夫の扶養になっていた妻(3号被保険者)が離婚した場合,そのままでは,夫の厚生年金について年金を受給することができません。この場合,年金分割を行うことにより,将来取得する年金を確保する必要があります。年金分割は,基本的には双方の合意により案分割合を決めますが,調停や審判で案分割合が決められた場合や,当事者間の合意を公正証書にした場合を除き,夫婦が揃って年金事務所にいって手続を行う必要があります。もちろん,本件のように弁護士などが夫ないし妻の代理人として手続を行うことは可能ですが,その他の離婚の条件(財産分与や養育費)を守ってもらうためにも,離婚協議書は公正証書化することも検討するとよいでしょう。このように,事案ごとにそのときできることは変わってきますし,早い段階で弁護士に委任することでその後の手続を円滑にすることもできますのでまずはお気軽にご相談ください。