この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
私が自動車を直進運転させていたところ,左方から一時停止位置で一時停止をすることなく進行してきた自動車に衝突され,その結果,後遺障害も残るほどの怪我を負いました。しかし,その運転者は米国軍人で,公務外の運転であり,しかも自動車任意保険に加入していない方でした。私はどのように対応したらよいのでしょうか。
解決への流れ
私に生じた症状が固定するのに時間がかかったことから,時効中断手続を行いました。その上で,その米国軍人を相手取って損害賠償請求訴訟を提起し判決を取得しました。その後,日米地位協定に基づく請求手続に移行しました。
南関東防衛局の担当者の方が親切に対応してくださったおかげもあり,適切な処理を進めることができています。なお,外務省HPの「日米地位協定Q&A」には以下のような設問とその回答が掲載されているのが参考になります。問11:米軍人が事故などで日本人に怪我をさせても,米軍人は十分な財産を持っていなかったり,転勤してしまうため,被害者は泣き寝入りするケースが多いというのは本当ですか。(答)日米地位協定では,被害者救済の観点から,公務外の米軍人等の行為などから生じる損害の賠償請求の処理について規定してあります。この規定によれば,被害者の便宜を図るため,日本政府が補償金を査定し,米国政府との間で補償金支払いの調整を行います。また,被害者が民事訴訟を提起することも当然のことながら可能です。このような規定に加え,更に,被害者救済を万全なものとするため,平成8年以降,日本にいるすべての米軍人,軍属及びそれらの家族を任意自動車保険に加入させる措置をとり,更に,日米地位協定の規定の下での支払い手続を改善するため,被害者に日本政府が無利子融資する制度,被害者の必要経費を米政府が前払いする制度,米国政府の支払い額が民事訴訟での判決額を下回った場合に日本政府が差額を補填する制度などが導入されています。