犯罪・刑事事件の解決事例
#人身事故 . #慰謝料・損害賠償 . #後遺障害等級認定

高次脳機能障害、構音障害等の傷病を負ったバイク運転手が、総額約1億円の賠償を受けた事案

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高山 桂 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人きさらぎ
所在地宮崎県 宮崎市

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

【事故発生からご依頼までの流れ】鹿児島市在住の男性がバイクに乗って自車線を走行して交差点に進入したところ、対向車線を走行していた普通乗用自動車が前方を注視することなく交差点を右折してきたために、直進中のバイクと衝突し、外傷性くも膜下出血等の傷病を負いました。通勤途中の事故だったため、被害者は労災保険を使って治療を受けていました。【相談・依頼のきっかけ】被害者の奥様は、治療中から弁護士に相談に行ったほうがいいという知人のアドバイスを受けていた一方で、弁護士に相談に行くなら治療が終わって賠償金の話になってからだというアドバイスをする知人もいたため、治療が終わるころまでどのようにしたらいいか悩んでいました。ちょうど治療も終わりかけていたころ、保険会社から「そろそろ症状固定の話をしたい」と言われ、症状固定とはなんなのか、治療はもう行けないのか、といった点を疑問に思い、治療中であっても弁護士に相談に行ったほうがいいと判断してグレイスに相談に来ました。

解決への流れ

【サポートの流れ(後遺障害認定申請+示談交渉)】被害者のもとに労災保険から通知書面が届いており、まず労災関係の整理をする必要があったことから、被害者とその奥様に同行して、労働基準監督署に面談に行ってまいりました。そこで、間もなく症状固定を迎えようとしていること、症状固定となったあとは後遺障害等級の認定申請をして、年金か一時金かを受け取るほかないこと、といった点を聴取いたしました。すぐに次の手続に移る必要があると判断し、被害者の奥様から、被害者の症状を詳細に聴取して高次脳機能障害、視覚障害、聴覚障害、嗅覚障害等の各種障害の立証設計に移りました。鹿児島でこれらの障害の画像撮影や各種検査を実施することができる病院は限られていたため、色々な病院に行って医師面談に臨み、協力を求めていきました。一方、症状固定となると休業損害が支払われなくなるため、保険会社の内払いもストップするのが通常ですが、一家の大黒柱が働けない状態で保険会社からの内払いが無ければ安心して後遺障害の立証に専念することもできないため、症状固定後も賠償金の内払いとして保険会社からは毎月一定額を支払ってもらっていました。【結果】高次脳機能障害の存在については頭部MRIを初めとする各種画像によって立証し、その程度については詳細な神経心理学テストによって立証し、その他奥様からの日常生活状況申述書も付け加えることによって、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」として別表第二第3級3号に該当するとの判断を受けました。また、事故との因果関係について不明と判断されてしまった視覚障害を除き、聴覚と嗅覚についてはそれぞれ別表第二第12級相当との判断を受けました。全体としては、被害者に残存した後遺障害は併合2級と認定されています。示談交渉に際しては、後遺障害等級認定申請に用いた医学的資料を余すところなく用いることによって、被害者や被害者の奥様が自費で負担された分も含めて、示談することができております(治療費は別途医療機関に支払われております)。

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高山 桂 弁護士からのコメント

高次脳機能障害の立証のポイントはいくつかあるのですが、一つには高次脳機能障害の存在が画像から立証できること、一つには高次脳機能障害の程度が各種神経心理学テストから立証できること、一つには高次脳機能障害と併発している他の症状を見逃すことなく立証すること、といった点があげられます。本件の場合には、治療が終盤に差し掛かっていた中で相談に来られたため、多少慌ただしく動くことになりましたが、いずれについても正確に立証することができたため、当初想定していた等級よりも高い等級の認定を受けることができました。高次脳機能障害は1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級というように段階が分かれていて、一段階上がるだけで後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料の金額が大きく変わってきます。それにとどまらず、高次脳機能障害で1級と認定されることは常時介護が必要であることと同義であり、2級と認定されることは随時介護が必要であることと同義であるため、付添介護費用や将来介護費用の請求を通しやすくなります。3級や5級でも、訴訟を提起して主張立証を尽くすことによって付添介護費用や将来介護費用が認められる事例も中にはありますが、いずれにしても一つ判断が変わることによって示談金額が大きく変動してくるのです。本件では、治療終了間際とはいえ、治療期間中に相談にお越しいただいたので、100パーセント満足のいく立証とまではいきませんでしたが、十分な立証を行うことができましたので、こちらの狙いどおり、あるいは狙い以上の等級認定を受けることができました。このとき見逃せないのが、症状固定日を迎えてから後遺障害の判断がおりるまでの期間の生活費についてです。毎月の生活費が無ければ安心して後遺障害立証のための検査に臨むこともできませんので、保険会社の担当者の心情に訴えて、本来は対応してくれない「槽上固定後の賠償金の内払い」についても対応して頂きました。このときの交渉の姿勢や、収集した医学的証拠が、最終的な賠償金額にも反映されたのだろうと思います(高次脳機能障害はあくまでも3級3号ですので、付添介護費用や将来介護費用は、本来的には訴訟を提起して主張立証を尽くしたあとでなければ、保険会社が支払いに応じることは困難といえます)。なお余談ですが、この方については今後のために、家族会や障害者向けの就労支援事業者を紹介させて頂いております。このページをご覧になった方の中にも、ご家族や知人、友人の方が事故に遭って意識不明の重体であるとか、意識は回復したんだけれども事故前と人柄が変わってしまったとか、行動がおかしくなったとか、物覚えが悪くなってしまったとか、といった方を知っていらっしゃる方がいらっしゃると思います。当事務所では、この方のように重傷を負われた方に対しては、必要に応じて特に手厚いサポートをさせて頂いておりますので、一度お電話を頂ければ幸いです。