犯罪・刑事事件の解決事例
#ビザ・在留資格

訴訟のために在留資格を変更した事例

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関 範子 弁護士が解決
所属事務所やよい共同法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

30代 男性

相談前の状況

私はA国人ですが、「人文知識・国際業務」(当時)の在留資格を得て、日本の会社で働いていました。しかし、社長は、契約に反し、私に一円も給料を支払わなかったばかりか、ある日突然、事実無根の理由で私を解雇しました。私はすぐに弁護士に依頼し、会社に対し、地位確認と、未払給料の支払いを求める労働審判を申し立てました。しかし、会社との間で和解が成立する見込みもなく、かつ、他にも申立人がおり、争点も多々あったことから、労働審判は早々に終了し、通常訴訟に移行しました。通常訴訟の第1回目の期日の時点で、私の在留期限が迫っていましたが、不当解雇とはいえ、会社で働いていない状態であったため、在留資格の期間更新は難しいと思われました。しかし、訴訟は始まったばかりですし、訴訟が終わったら、私は再度会社で勤務するつもりでしたので、今の時点で母国に帰ることはできないと思いました。そこで弁護士に相談したところ、いったん「短期滞在」への資格変更申請をし、訴訟の進行にあわせ、適宜期間更新申請をするという方針を提案されましたので、お願いすることにしました。

解決への流れ

弁護士は、労働訴訟との関係で、私が引き続き日本に在留する必要があることを入国管理局に説明する書面を作成し、「短期滞在」への在留資格変更申請を取り次いでくれました。その結果、私は3か月の「短期滞在」の在留資格を得ることができました。そして、その後2回にわたり、在留期間更新を認めてもらうことができました。もっとも、労働訴訟の方は、私以外にも原告がいたことや、争点が多岐にわたっていたこと等から、なかなか判決までたどりつかず、3回目の在留期間更新申請は不許可になったため、私は母国に帰りました。ちなみに、労働訴訟の判決が出たのは、私の帰国後1年も経ってからのことでしたが、未払給料については全額認めてもらうことができました。

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関 範子 弁護士からのコメント

日本に在留する外国人は、在留資格に見合う活動をしなければなりません。本件の相談者は、「人文知識・国際業務」の在留資格を得て、ある会社で働いていましたが、給料を一円も払ってもらえないまま不当解雇され、当該会社で働くことができなくなり、在留資格に見合う活動ができなくなってしまいました。相談者は、自分を不当解雇した会社に、未払給料を払わせ、職場への復帰を認めさせたいと希望していたことから、別の会社に転職することもできませんでした。また、相談者には、他に変更できそうな在留資格も見当たらなかったことから、このままでは、日本に在留できない恐れがありました。そこで、いったん「短期滞在」への在留資格変更申請をし、労働訴訟のための代理人との打ち合わせや、尋問期日への出廷の必要があること等を強調し、在留期間更新を重ねることで、継続的な在留を目指すことにしました。その結果、在留資格変更申請はすぐに認められ、在留期間更新も、その後2回、認めてもらうことができました。在留期間更新申請においては、毎回、入国管理局に、労働訴訟の進行状況や、終了の見込み時期等について、丁寧に説明する書面を提出しました。残念ながら、3回目の期間更新は認められませんでしたが、「短期滞在」への変更が認められた日から数えると、相談者は、ちょうど1年ほどは日本に在留できたことになり、その後は、母国で労働訴訟の結果を待つ日々でした。この労働訴訟も、私が代理したのですが、原告が相談者以外にもおり、争点が複雑な部分もあったこと、また、被告の代理人が途中で辞任する等のハプニングがあったりして非常に長引きましたが、相談者が母国に帰ってから約1年後に判決が出、相談者の未払給与は、全額認めてもらうことができました。