この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
本件は、相手方配偶者と別居後5年以上が経過した後に相談にいらしたケースとなります。別居当初、相手方は離婚に応じていましたが、その後に離婚するなら1000万円以上の慰謝料を支払ってもらうなどと言い始めたため、結局話し合いにならなくなり、ご依頼者は別居期間が相当期間経過するのを待っていました。その後別居が長期間経過しましたが、その間相手方との連絡を絶っており、また従前相手方から法外な請求をされていましたので、ご依頼者としては、自身で相手方と話し合うことは困難ということで、ご相談後にご依頼いただきました。
解決への流れ
長年別居しており、相手方の財産関係が不明確でしたので、まず財産調査を実施しました。次に、協議を行うために相手方に通知を送付しましたが、受領しなかったので調停申立を行いました(結果的には取下げています。)。
本件は、ご依頼いただいた時点で別居から既に長期間経過していましたので、仮に裁判になったとしても離婚が認められる可能性が高いケースでした。ただ、財産調査等の結果、財産分与を行った場合には、ご依頼者から相手方に相当額の給付が必要となる可能性があり、ご依頼者もその点を危惧しておられました。財産調査後に相手方と連絡をとろうとしましたが、連絡がつかなかったため調停を申立てたところ、相手方よりご依頼者宛に離婚届が届きました。財産分与等の条件は特段ありませんでしたので、ご依頼者と協議の上、離婚届を提出し(調停は取下げました。)、ご依頼者のご希望通り財産分与等の給付なしで離婚が成立することとなりました。本件は事前の財産調査を除けば、ご依頼から2ヶ月も経たずに離婚が成立し、早期解決となりました。また、財産給付等のその他の条件についても特段何もなく、ご依頼者のご希望にそう内容となりましたので、非常によい結果となりました。本件のように別居期間が長期に及んでいる場合、一般的には裁判において離婚が認められる可能性が高くなりますが、別居期間は婚姻を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)の一事情ですので、個別具体的な事情によっては、仮に別居期間が長い場合でも必ず離婚が認められるものではないことには注意が必要となります。また、本件では相手方以上にご依頼者の財産があったものの、結果的に分与等の条件は何もありませんでしたが、本来は財産分与等をする必要がありますので、本件同様の結論となるケースは多くはないと思われます。