この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
70代父親が妻及び子(いずれも成人)を放置して家を出て行き、別の女性と一戸建ての家をローンを組んで購入して10年間同居生活,その後死亡。死亡直前,同居女性が父親との婚姻届提出(妻はその5年前に死亡)。同居女性は葬儀で喪主を勤め,相続において妻として2分の1の相続分を主張。父親の遺産はマンション2棟と預貯金,女性と同居していた一戸建建物等で遺産総額は3億4000万円(相続税評価)。相談者は,婚姻の無効を主張して戸籍から同居女性の妻を外すとともに,相続分の主張をさせないこと,他方で,10年同居という事実から内縁の妻として生活保障は考えるという意向。
解決への流れ
相談者の意向に沿って遺言無効確認訴訟を家裁に提起~婚姻届が出された際父親は入院中。父親は同居女性と婚姻意思がなかったことを生活状況等証拠を踏まえ主張するとともに、カルテを詳細に分析して父親には婚姻意思を表示することは困難な状態にあったことを主張立証。意識障害JCSⅠ-3.婚姻届は代筆。一審勝訴。同居女性控訴。控訴審では,婚姻無効を前提に同居女性が父親と10年間同居生活を営んでおり,内縁関係にあったことを前提にその生活保障を検討し,同居女性が住宅ローン残額約1500万円で一戸建て建物(時価3000万円)を購入することで和解成立。
当初予定していた結論で解決できたのは依頼者も弁護士も満足。ただ,最初の相談時,調停申立てで全体解決できると考えていたが,その後,法律上父親が死亡していることから婚姻無効の訴訟を提起して判決を貰う必要があることに気付き方針転換があった。そのため,着手金を調停を前提に計算してしまい,結果として大幅減額をしてしまったのは残念。