この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
夜間の土木工事作業中に、穴に転落した従業員が、その時は特に怪我はないとのことで大事に考えてはいなかったものの、後に、あちこちが痛いと言い出して休みがちとなり、その後、弁護士から、「労災隠しだ。治療費や休業損害、後遺症慰謝料などを支払え」として約3000万円の損害賠償請求訴訟が起こされた。
解決への流れ
誇張であり、そのような大きな怪我はそもそも負っておらず、後遺症も発生していないし、専ら従業員の過失によるところが大きいとして争い、結局、約300万円の支払いでの和解が成立した。
4日間以上の休業を要する労働災害が発生したら、遅滞なく労働基準監督署に報告書を提出しなければなりません。過失の成否は、慎重な吟味が必要であり、相手方の主張を鵜呑みにする必要はありません。このような時に、使用者賠償責任保険に加入していると全て保険で賄われるので安心なのですが、労災給付には、慰謝料は入っておらず、休業補償金も法で認められる正当な賠償額には足りないため、その差額をこのように請求されてしまいます。万一の事故に備え、「過失」を問われないためにも、日ごろからの安全教育とその証拠化が、極めて重要です。保険の付保を含め、リスク管理についてもう一度よく見直しましょう。