犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #盗撮

撮影罪(盗撮事件)で示談を成立させ、不起訴処分を獲得した事例

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磯田 直也 弁護士が解決
所属事務所ルーセント法律事務所
所在地兵庫県 宝塚市

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

依頼者(20代男性・会社員)は、通勤途中の駅のエスカレーターにおいて、前にいた女性のスカート内にスマートフォンを差し向けて動画を撮影しました。その行為を周囲にいた別の乗客に気づかれ、駅員を通じて警察に通報されました。駆け付けた警察官に任意同行を求められ、警察署で事情聴取を受けました。スマートフォンからは撮影された動画が発見され、依頼者は「性的撮影処罰法」(撮影罪)違反の容疑で捜査を受けることになりました。依頼者は、出来心でやってしまった行為を深く後悔していましたが、あらためて逮捕される可能性や、有罪になった場合の前科、会社への発覚、社会的な信用の失墜などを恐れ、強い不安と混乱の中にいました。「どうすれば被害者の方に謝罪できるのか」「前科をつけずに済む方法はないか」と考え、当事務所にご相談に来られました。

解決への流れ

ご相談の際、まず依頼者から詳細な経緯と反省の状況を聴取しました。そして、本件のような性犯罪においては、被害者の方への真摯な謝罪と被害弁償(示談)が、今後の処分を決定する上で極めて重要であることを説明しました。ご依頼をお預かりすることになり、捜査機関を通じて被害者の方の連絡先を確認し、依頼者の代理人として謝罪の意を伝え、示談交渉を開始しました。被害者の方は、盗撮されたことによる精神的ショックと強い不快感・恐怖感を抱いておられましたが、弁護士が依頼者の深い反省と「二度と同様の過ちを繰り返さない」という誓約を丁寧に伝え、また、被害感情に配慮した適正な示談金額を提示し、交渉を重ねました。その結果、被害者の方に謝罪を受け入れていただき、最終的には「宥恕(ゆうじょ:許し、刑事処罰を求めない意思)文言付き」の示談を成立させることができました。示談交渉の最中にも、依頼者はスマートフォンを初期化し、再発防止策を具体的に検討しました。弁護士は、この示談書、依頼者本人の反省文、再発防止策を盛り込んだ意見書を作成し、検察官に提出しました。意見書では、示談が成立し被害者が宥恕している点、依頼者が深く反省し具体的な再発防止策を講じている点、前科がない点などを詳細に主張し、不起訴処分(起訴猶予)が妥当であることを訴えました。これらの弁護活動の結果、検察官は依頼者を不起訴処分としました。これにより、依頼者は刑事裁判を受けることなく、前科が付くことも避けられ、会社に知られることなく社会生活を継続することができました。

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磯田 直也 弁護士からのコメント

撮影罪(盗撮)は、被害者のプライバシーと尊厳を著しく侵害する、卑劣な犯罪です。近年、法改正(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律)もあり、厳罰化の傾向にあります。被害者の方の処罰感情も強いことが多く、示談交渉は非常にデリケートな対応が求められます。加害者本人が直接謝罪や交渉をしようとすると、被害者の方の感情をさらに害してしまい、かえって示談が困難になるケースが少なくありません。また、捜査機関も、加害者本人に直接被害者の連絡先を教えることは通常ありません。本件では、早期にご相談いただけたことで、弁護士が速やかに被害者の方との示談交渉に着手できました。弁護士が間に入ることで、被害者の方も冷静に話を聞き入れてくださる可能性が高まります。真摯な謝罪と適切な被害弁償を行い、宥恕付きの示談を成立させられたことが、不起訴処分という最良の結果につながりました。盗撮行為をしてしまい、捜査機関から連絡があった、あるいは今後どうなるか不安だという方は、決して一人で抱え込まず、できる限り早く弁護士にご相談ください。適切な初動対応と被害者の方への誠実な対応が、将来を守る鍵となります。