この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
相談者様は、ホテルでデリバリーヘルスを利用し、性器同士を擦り合わせる性的サービスであるいわゆる「素股(すまた)」をしていたところ、キャスト女性から、性器を挿入したと指摘され、その場で警察に通報されました。相談者様は、臨場した警察官から任意同行を求められて警察署で取調べを受け、その日は解放されたものの、不同意性交容疑で捜査が継続されることとなったことから、不安を覚え、弁護士への相談・依頼に至りました。
解決への流れ
相談者様が警察官から聞いた話によると、相手方女性は、相談者様が同意なく勝手に性器を挿入したと主張しているとのことでしたが、相談者様は全く身に覚えがなく、デリバリーヘルス店のルールに沿った素股行為しかしていないという認識であったため、取調べにおいて一貫して犯行を否認し続けました。弁護士から検察官に対しても、同様にして相談者様が犯罪行為に及んでいないことを主張すべく意見書を差し入れて、最終的に不起訴処分を得ることができました。
法改正により、令和5年7月13以降、不同意性交等罪と不同意わいせつ罪が新設され、従来の要件であった「暴行や脅迫」といった事実がなくとも、被害者が性的行為に同意していないことを加害者に伝えることが困難であったと認められる場合(法律上8つの類型のシチュエーションが定められています)には、犯罪が成立することとなりました。被疑者として捜査対象になってしまった場合には、客観的に見て不起訴になると見込まれるケースにおいても、万一起訴されてしまったときのことを想定して不安を覚え、多額の示談金を支払うことを心理的に余儀なくされるケースも多く、問題を孕んだ法改正であると思います。本件においては、示談をすることなく一貫して犯行を否認し続けたことが功を奏しましたが、犯罪が成立してしまう可能性が相応にある場合など、起訴や実刑を免れるために無難に示談を図った方が良いケースもあるので、初動の段階で弁護士と入念に打ち合わせをしたうえで方針を決めることが望ましいでしょう。