この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
ご相談者は、約１０年ほど交際していた女性と別れることになりました。その後、ご相談者は、別れた女性の両親から、手切れ金として３００万円払うよう請求を受けてしまいました。１０年という期間はかなり長いですが、本当に手切れ金を支払わないといけないのか悩まれ、弁護士にご相談に来られました。なお、１０年間の交際期間中、ご相談者と女性の間で、結婚の話が出たことはありませんでした。
解決への流れ
私は、女性のご両親に連絡し、本件は、単に男女がその交際を解消したにすぎない事案であること、交際期間中に結婚の話が出たことはなく、女性が結婚についての期待を侵害したという事情もないから、貞操権侵害は発生していないこと、法的には手切れ金というものは発生しないことを説明し、ご両親はしぶしぶではありますが納得されました。その結果、３００万円の請求に対し、一切支払いをすることなく（ゼロ）解決することができました。
貞操権侵害は、相手方の性的自由をコントロールする権利を侵害した場合に成立します。既婚者ではないと偽ったり、結婚できることの期待を持たせて長期間交際を続けた場合などが典型例です。他方、単なる男女交際の解消のケースでは、貞操権侵害が成立することはありません。本件では、１０年という期間はたしかに長いのですが、結婚という話が一切出ていなかったことが決め手となりました。もちろん、期間を重視して、貞操権侵害は成立するという主張もありうるかと思います。弁護士は、具体的な事実を分析して、ご依頼者にとって最適な主張をしていく必要があります。