この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
相談者は駅のエスカレーターに乗っていたところ、目の前にいた女性のお尻を触ったという痴漢の容疑で逮捕されました。相談者の妻から要請があり、警察署の留置場に面会に行き、受任しました。面会では、相談者は、「絶対に触っていない」と強く仰せでしたので、無罪主張を行う弁護方針をとることにしました。
解決への流れ
まずは、実際に駅のエスカレーターを見に行き、人の込み具合などをチェックして、相談者以外の人物が触った可能性はないのか検証しました。次に、検察庁に行き、担当検察官に、女性のお尻を触ったという証拠はどんなものがあるのか問いただし、証拠の一部を開示するよう要求しました。検察官は証拠は見せてくれませんでしたが、話した様子では、決定的な証拠はないようでした。さらに、被疑者の取り調べに同行し、自白調書をとられないように励ましました。最後には、不起訴処分が相当である内容の意見書を提出しました。結果的には、証拠不十分で不起訴となりました。
無罪主張を行う弁護活動では、警察や検察官などの捜査機関に、自白調書をとらせない弁護活動が重要となります。依頼者に対し、取り調べに際しての黙秘権や、供述調書の訂正申立などの権利があることのアドバイスを行います。また、犯罪の立証は捜査機関に立証責任があるとはいえ、弁護士は実際の現場を確認することによって、何か手掛かりがないかを検証することも重要でしょう。依頼者と何度も打ち合わせをし、無罪主張をすべきであると考えた場合は、捜査機関に、依頼者は無実であることを強く主張すべきです。