この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
過労死の相談事案で、被害者の親族からの相談であった。親族が入手しているタイムカードでは、出社時刻・退社時刻ともほとんど定時で打刻されており、タイムカードからは過重労働の立証が困難であった。労基署に過労死認定してもらうためにいかに過重労働を立証するかがポイントとなった。
解決への流れ
依頼者が保持していた個人の業務用のパソコンの更新時間を逐一記録し、故人が亡くなる数か月前のタイムカードで打刻された出社時間・退社時間との対照表を作成した。また、故人の携帯電話の通話履歴やメールの送信時間なども調べて、業務用と思われるものについてはその発信時間も記録し対照を行った。さらに携帯電話に記録されていた写真に車の計器類を写したものが何枚もあり、おそらく社用車の走行距離計を記録するために写したもので、業務のためのものであろうと推測し、その撮影時刻も記録して対照を行った。その結果、死亡前の数か月間で過労死認定の目安となる残業時間を超える残業時間を行っていたことが推認されるデータが作成できたので、これを労基署に持ち込んだところ、労基署が相手方会社の調査に乗り出し、結論的に過労死の認定をもらうことができた。その後、会社にも自らの責任を認めさせることができた。
亡くなられた方の実際の労働時間の算出が極めて煩雑で困難を極めましたが、依頼者の熱意もあり、依頼者と協働して対照表の作成にこぎつけることができたことと、それを労基署に持ち込んだ時の監督官の「やりましょう」という言葉が強く印象に残っています。