この事例の依頼主
20代 女性
相談前の状況
依頼者は、夫に熱湯をかけ火傷を負わせた件で、警察から在宅で取調べを受けてました。私は、依頼者から夫との示談交渉を受任しました。ところが、示談交渉を開始する前に依頼者が警察に逮捕されてしまったため、私は依頼者の私選弁護人に就くことになりました。
解決への流れ
私が私選弁護人に就くと直ぐに、夫の代理人から受任の連絡が入ったため、夫の代理人との間で示談交渉を開始しました。依頼者と夫の間には生まれたばかりの子供がおり、依頼者は夫婦関係の継続を強く望んでいました。しかし、夫が警察に被害を届け出ていることを考えると、私が弁護人として夫婦関係の継続を求めることは、相手方の感情を逆なでする恐れがありました。そこで、弁護人としては離婚を前提とする示談の申入れをする一方で、復縁を求める依頼者の気持ちは手紙の形で夫に伝えることとし、示談交渉を重ねました。勾留満期までに示談は成立しませんでしたが、依頼者は不起訴処分になりました。夫が検察官に対し、依頼者の処罰を望まない旨を伝えたためでした。不起訴処分となった後、依頼者は夫と話し合い、再び親子3人で暮らすようになりました。
本件で依頼者に非があることは明らかで、離婚はやむを得ない内容でした。私は依頼者に対し、被害に遭った夫の気持ち、警察に被害を届け出た夫の気持ちを考えるよう何度も言い聞かせました。依頼者は、深く反省し二度と同じ過ちを繰り返さないことを誓い、夫とやり直したいと私に強く訴えました。そこで、復縁の気持ちを手紙にして夫に伝えるようアドバイスしました。依頼者の気持ちが夫に伝わった結果、依頼者は不起訴処分となり、親子3人の生活を取り戻すことができました。刑事処分を免れるだけでなく離婚も回避することができ、感慨深い事件となりました。