この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
20年以上勤めた会社からセクハラやパワハラを理由に懲戒解雇され、退職金すら受け取れなかったため、私の所にご相談にいらっしゃいました。依頼者は懲戒解雇されるまで、会社からセクハラやパワハラについて注意等を受けたことは一度もなく、突然本社に呼び出されて懲罰委員会が開催され、その場で懲戒解雇を告げられていました。
解決への流れ
解雇理由は多岐にわたっていましたが、懲戒解雇の手続自体に大きな問題があると考えられたこと、また、依頼者が早期解決を望んでいたことから、労働審判を申し立てることにしました。労働審判では、懲戒解雇を行うには手続が不十分であったことを理由に解雇無効の心証が示されました。会社も依頼者も職場復帰を望まなかったため、解決金の協議が行われましたが、労働審判委員会は当初、解雇理由となった事実については依頼者にも非があることを指摘し、こちらに大幅な譲歩を迫ってきました。私は、セクハラやパワハラについて事実誤認があること、懲戒解雇が無効である点に変わりはないことを主張し、大幅な譲歩に応じることはできず訴訟も辞さないという姿勢を示しました。こちらの断固とした姿勢を見た労働審判委員会が会社を説得し、最終的に退職金の金額を上回る解決金を引き出すことができました。
長年勤めた会社から懲戒解雇されてしまうと、退職金を受け取れないばかりか再就職も困難となり、懲戒解雇は労働者にとって非常に重い処分です。懲戒解雇されたことに納得できない場合には、一度弁護士に相談されてみることをお勧めします。