この事例の依頼主
80代以上 女性
相談前の状況
東京都内の市役所職員から、「80歳代の独身女性Aが保有する5000万円以上の預金を、Aのヘルパーをしている50代の女性Bが保護者と名乗り、勝手に預金通帳を預かり、お金を引き出している。又、Bの実妹に財産を遺贈する遺言書があるらしいので相談に乗って貰いたい」との連絡を受けました。当職は直ぐにAさんと会って話をきいてみると、Aさんは自分の将来の生活費のために必要な財産をどんどんBに吸い取られているような状況であることが判明しました。
解決への流れ
私は、Aさんの姪と連絡をとり、Aさんの同意を得て介護施設に入所させてBと引き離し、更に私が財産管理人となりAさんの財産を管理するようにしました。身元引受人になる姪に相続させる内容の公正証書遺言書も新たに作成しました。財産管理はAさんが亡くなるまで約10年間続きましたが、適切な財産管理ができたため亡くなるまで生活費に困窮せずに済みました。遺産は書き換えた遺言書に従い高齢者の身元引受人になった姪が取得しました。
独り身の高齢者には、一見親切そうでも、高齢者の財産目当てで近づいてくる人がいます。このような人とつきあうことによって自分の将来の生活が脅かされる状況であっても高齢者本人だけではそのような危機を自覚できないこともあります。そういう場合は、早期に、周囲の方が覚知し、福祉や法律の専門家の援助を受けることが大切です。本件では、自治体、親族、弁護士が連携して高齢者の財産の枯渇を防止できてよかったと思います。