この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
依頼者は遺留分減殺請求を受けた相続人2名(30代)と受遺者1名(60代女性)で、遺産に占める不動産の価値が大きいので、住居として使用していた土地建物を全部売却するか、切り売りしなければならない状況でした。それでも依頼者らは土地建物を売却せずに解決したいという意向が強く、弁護士が理論構成と交渉を、依頼者らが代償金の資金調達を、という役割分担が巧く機能して、土地建物を売却せずに解決することができました。
解決への流れ
代償金が少なくなるよう不動産の評価を工夫しました。裁判手続に持ち込まれない、不動産鑑定や測量にかかる出費を抑え、代償金の原資を確保することに努めた甲斐があり、交渉の末、支払時期を先延ばししたり分割払いにしました。
遺言者の意思が一部否定される遺留分減殺の制度や裁判手続きに入るともっと状況が厳しくなることを依頼者らに納得してもらうことに苦労しました。相手方は依頼者らに憎しみがあるわけではなく、「法律で認められた権利を行使する。」ことができれば了解する意思でしたので、法律で認められた権利の解釈や説明を工夫したことが解決のポイントでした。依頼者らは先代からの土地建物を守れたことを喜んでいました。係争中にお宅を訪問した際、家庭菜園の様子をみせてもらい、全部売却や一部切り売りをすればできなくなると嘆いていましたが、今まで通り家庭菜園を続けられて心のよりどころを奪われずに済んだでしょう。