この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
依頼者は交通事故により後遺障害等級12級に認定されました。しかし、会社役員であり、会社から支払われる役員報酬が減額されなかったことから、相手方保険会社は逸失利益の支払を拒絶していました。
解決への流れ
本件で依頼者が会社の役員であり続けられたのは、元々依頼者が現場作業がメインの仕事ではなく、社内の管理部門の役員であったこと、社内全体で依頼者を支える態勢を構築したこと、依頼者自身も体が不自由であったものの不断の努力を行い、従前同様の仕事をやり続けたことが理由でした。ただ、依頼者の勤務する会社は依頼者の親族の経営する会社ではないため、場合によっては役員を解任される可能性も否定できませんでした。そこで、依頼者、会社の努力の結果、依頼者は役員の地位にあり続け、役員報酬の減額がなかったこと、ただ将来の地位まで保証されているものではないことを訴訟上丁寧に主張し、大卒者の平均賃金を基準とした逸失利益を認定してもらうことができました。
本件のように、交通事故被害者が会社役員の場合、保険会社はそのことを理由として休業損害や逸失利益の支払を拒否してくることがよくあります。しかし、役員であってもその報酬が労務の対価といえる場合には、休業損害や逸失利益が認められるというのが裁判例です。本件依頼者は賠償額の大幅な増額に大変満足されておられました。