この事例の依頼主

男性

相談前の状況

Xさんは、子供(Aちゃん)が幼いころに離婚し、子供の親権者は元配偶者(Yさん)となりました。ある日、AちゃんがXさんのもとにやってきて「今の家を出たい」「一緒に暮らしたい」と言ったため、Xさんは「親権者変更の審判」を申し立てることにしました。

解決への流れ

Aちゃんが15歳になったこと(※)、Aちゃんが「家を出てXさんと暮らしたい」と強く訴え続けたこと、調査官による調査で「YさんのAちゃんに対する監護に問題がある」と判断されたことなどから、裁判所は「Aちゃんの親権者をXさんに変更する」という審判を行いました。半年ほどかかりましたが、AちゃんはXさんと一緒に暮らせるようになりました。※ 親権者変更の審判では、対象となる子供が15歳以上の場合、子供本人からも必ず話を聞くことになっています。

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高木 紀子 弁護士からのコメント

Aちゃんが15歳であったことは、「法律上、親権についての意見を確認すべき年齢である」というだけでなく、パパとの生活がどんなものだったのか、何がどんな風に嫌だったのか、これからの生活や自分の将来についてどうしたいと思っているのか…といったことを「自分の言葉で具体的に話すことができる」という意味でも、とても重要でした。Aちゃんの意思が固いこと、Aちゃんの話を聞いていると、Yさんの家庭はAちゃんにとってよい環境とは言い難いことが明らかであったこと、Aちゃんの年齢や話の具体性からAちゃんの話す内容には信用性が高いと判断してもらえるだろうと考えたことなどから、話し合いを旨とする「調停」ではなく、裁判所の判断を求める「審判」の申立を行い、比較的スピーディに「親権者を母に変更する」という結論を得ることができました。ただ、「比較的スピーディ」というのは、あくまでも「裁判所における手続としては」ということであって、AちゃんもXさんも、この「半年」という期間をとても長く感じられたと思います。