この事例の依頼主
女性
夫は結婚当初から外面は良いものの、家庭内では言葉の暴力がひどく、精神的に傷ついて、最近うつ症状との診断を受けた。夫から直接の暴力を受けたことは無いが、モノに当たったり、ドアを乱暴に閉めたりして心理的な圧力をかけてくる。最近は小学生の子ども(女の子)の前でも怒鳴るようになり、子どもが夫を怖がっており、子どものためにもこれ以上同居できないので、すぐに家を出て、離婚したいと思っている。一度離婚を切り出したことがあるが、絶対に離婚しないと言われ、裁判するなら離婚を阻止するため超一流の弁護士を雇うと言われた。自分としては離婚してくれるのであれば多くは望まないが、子どもの親権はどうしても譲れないというご相談でした。なお、家計は夫が管理しており、夫名義の財産はよくわからないとのことでした。
夫の性格から直接の話合いには応じそうもないとのことでしたので、すぐにお子さんを連れて実家へ転居して頂き、家庭裁判所へ夫婦関係調整(離婚)調停及び婚姻費用分担調停を申し立てることにしました。ご依頼者様の夫のようないわゆるモラハラ事案は、調停に夫本人が出席してくると難航することも多いのですが、調停の早い段階で夫側に弁護士がついたことで、比較的調停はスムーズに進行しました。まず、離婚調停がすんなりと解決できる見込みが薄い場合、しっかりと婚姻費用(生活費)を確保することが重要ですが、2回目の期日で、夫から月額18万円の婚姻費用の支払を受ける内容の調停を成立させることが出来たことから、専業主婦であるご依頼者様も安心して調停を進めることが出来ました。同居時には絶対に離婚しないと言っていた夫ですが、ご依頼者様の離婚意思が固いことや、子どもさんも離婚を望んでいることが分かり、5回目の調停期日で、婚姻継続をあきらめ、離婚条件の話し合いに応じるようになりました。調停の中で、夫の財産状況が明らかになったため、財産分与についてもしっかりと主張することができました。結果として、慰謝料の請求は放棄しましたが、親権を確保し、養育費月額15万円のほか、800万円近い財産分与、年金分割を得ることができました。
全ての任務が終了した後、ご依頼者様から以下のような嬉しいメールをいただきました(転載につきご了承済み)。『先生にご依頼させて頂き、本当に良かったです。ありがとうございました。初めて相談に伺わせて頂いた際には、不安でいっぱいで涙を流してしまい、お恥ずかしい限りでしたが、嫌な顔一つ見せず、長時間にわたってお話を聞いて下さり、力強く大丈夫ですよと仰って頂き、この先生に依頼しようと決めました。調停中は感情に流されたり弱気になりがちな私を冷静にフォローしてくださり、不安を解消いただいたこと、一生忘れません。離婚して長い間抱えていた心の重荷が取れ軽くなりました。子ども共々落ち着いた生活が送れるようになりました。本当にありがとうございました。』離婚というのは、失敗ではなく、新たな人生の再スタートにすぎません。離婚という結果はともかく、本当に精神的に参っていたご依頼者様が元気になられた姿を見て、一生懸命頑張って良かったと思えた事件でした。