この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
銀行バンクローン2社,クレジット会社系2社,消費者金融2社,債務総額約300万円で,収入は月額手取り約22万円という方が相談に来られました。話を聞くと,平成15年ころから平成25ころ年まで生活苦で借金が続き,親から400万円を援助してもらい,いったん完済したが,その後失業や体調不良により働けない期間があり,再び借金が始まり,現在に至っているとのことでした。
解決への流れ
平成22年以前は,出資法(犯罪となる利率,ブラック利率)と貸金業規制法による利率(利息制限法には違反するが,犯罪には問われない利率,グレーゾーン利率)と利息制限法による利率(15~20%,ホワイト利率)に差があり,銀行等を除く消費者金融やクレジット会社ではグレーゾーン利率で貸し付けをしていました。実際の取引経過を利息制限法に引き直して計算してみると,払い過ぎていたというのが,いわゆる「過払い金」です。この方は平成15年から借入を続けていましたので,過払い金が発生している可能性が高いと考えましたので,とりあえず任意整理で受任し,着手金を18万+税として,自己破産になる場合は差額の2万円+税を追加するということにしました。完済をしたという債権者から取引履歴を開示させ,利息制限法により引き直し計算をすると,約200万円の過払い金が判明し,これを交渉により回収しました。現在の債権者にはそれまで待っておいてもらい,回収した約200万円から弁護報酬を除いた約180万円を債務額に応じて初回に支払い,残りの約120万円を,将来利息をカットさせたうえで,59回払い(計60回払い)で分割し,毎月約2万円の支払いによる任意整理で解決しました。
現在の債務額からは,自己破産かとも思いましたが,時間をかけて話を聞くと,過去親の援助によりいったん完済したという話が出てきたため,過払い金が発生している可能性が高いと思われました。そこでこの時点では破産するかどうかの方針決定は決めず,まずは過払い金の確認と回収を先行させることにし,その金額によって方針を決めることにしました。回収した過払い金から弁護報酬を除いた180万円を現債務にあてると約120万円残りますが,依頼者と話し合い,任意整理により解決することにし,生活を維持しながら確実に支払いができる約2万円で解決することができました。初回相談では顔色が悪く,不眠で仕事も手につかないという様子でしたが,弁護士に依頼することで直接の取立てが止まってからはずいぶん落ち着かれたようでした。最終的には自己破産を回避し,支払可能な金額で借金を整理することができることとなり「あとは仕事を頑張って支払っていきます。ありがとうございました。」とほっとして帰っていく姿が印象的でした。