この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
A子さん(会社員)は、クレジット会社5社に対して元金合計で約410万円の債務を負っていました。月々の返済額は約17万円となり、A子さんは、自分の給料だけでは到底返済が追い付かないため、クレジット会社から追加借入をして月々の返済をするという自転車操業のような状態となっていました。A子さんは、借金を整理して何とか生活の立て直したいとのことで、私の事務所に負債整理のご相談に来られました。
解決への流れ
まず、各債権者に対して受任通知(介入通知)を送付し、それによって各債権者のA子さんに対する請求が止まりました。そして、各債権者との間で債務の減額と長期分割弁済の交渉を行い、数ヵ月後には、全ての債権者との間で和解が成立しました。この任意整理により、債権者5社に対する債務の合計は約410万円から約280万円に減額され、月々の返済額合計も約17万円から約5万円になりました。A子さんからは、「A子代理人弁護士神山公仁彦」名義の弁済資金積立用口座に毎月5万5000円(弁済資金、振込手数料、弁護士報酬積立分)をお振込みいただき、弁護士が弁済資金を管理して月々の返済を自動振込の方法で行っていきました。そして、A子さんは、家族からの協力も得て何とか頑張って月々の弁済資金を用意し、約5年で債務の完済に至りました。
任意整理は、裁判所を通さすに、各債権者との個別交渉によって債務の減額や長期分割弁済を内容とする和解を成立させる債務整理の方法です。裁判所を通さないので、任意整理の対象とする債権を自由に選択できること(例えば、住宅ローンやどうしても迷惑をかけたくない保証人付きの債務を任意整理の対象から外すなど)がメリットです。他方、各債権者との個別交渉となりますので、弁済条件や弁済期間は各債権者ごとに区々となり、また、利息制限法で引き直し計算をした元金を割っての和解が難しいというのが任意整理の特徴です。なお、A子さんの場合、裁判所を通じての個人再生手続きを利用していれば、負債総額は100万円に圧縮され、月々3万円弱の弁済資金を用意することで3年間で債務の完済に至っていたと考えられます。A子さんは、一部に表に出したくない個人的な借入があったため、個人再生ではなく任意整理による負債処理を強く希望されたのですが、単純に弁済額だけで見た場合は、個人再生の方が断然有利な解決が得られたはずです。