犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割 . #相続放棄

死亡した夫が経営していた飲食店について、債務を精査した上で経営を承継した事例

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中村 傑 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人虎ノ門スクウェア法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

40代 女性

相談前の状況

飲食店を経営していた夫が死亡したが、会社の経理内容が不明であり、どうしたらいいか分からないと妻から相談を受けた。遺言はない。法定相続人は、妻(法定相続分3分の2)と夫の父母(法定相続分、あわせて3分の1)のみである。飲食店は夫が100%株式を保有していた会社が経営しており、代表取締役は夫であった。夫の死亡により、代表取締役が不在となった。妻としては、飲食店の経営を続けていく気持ちがあったが、負債がどの程度残っているか分からず、単純承認して、会社を承継し、飲食店経営を継続するか、相続放棄するか、判断できずにいた。

解決への流れ

相続調査に時間がかかると思われたので、相続放棄ができる3か月の期間を、まず、3か月延長する手続きを行った。飲食店をとりあえず継続していくには、厳密には、代表者が存在する必要があるが、相続した株式を根拠に株主総会を開き、妻が代表取締役に就任すると、単純承認とみなされ、以後、相続放棄の機会を失う恐れがあった。代表取締役の職務代行者の選任申立てを行うことも可能であったが、現実的に、支障が生じていなかったので、当該手続きは見合わせた。次に、夫個人と会社の資産・負債の調査を行った。債権者には事情を話し、調査終了するまで、待ってもらうことの承認を得た。この会社の調査の過程で、会社の貸借対照表からは分からなかったが、会社に対し、多額の死亡保険金が下りることが判明した。生命保険金は、一括、若しくは、年金方式、又は、これらの複合形式を選択することが出来た為、税理士にも相談し、何通りものシュミレーションを行った。その結果、従前により資金繰りが改善され、飲食店経営が現実的に可能であることが判明した。最後に、夫の両親に理解得て、遺産分割協議書を作成し、妻が、飲食店経営の法人の株式を全て取得し、飲食店を継続することとなった。

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中村 傑 弁護士からのコメント

相続をするか、放棄をするか、決められる期間は、3カ月である。但し、この期間は、調査に必要相応期間、延長をすることが出来る。調査に時間がかかりそうな場合には、この期間の延長申請といったことを検討するべきである。