犯罪・刑事事件の解決事例
#暴行・傷害 . #加害者

違法な取り調べを証拠保全により立証し、検事との「取引」により不起訴を獲得した事例

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中西 哲也 弁護士が解決
所属事務所中西哲也法律事務所
所在地大阪府 大阪市中央区

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

Kさんが暴力団組織に所属していた時、他の組員が、他の組員に対して逮捕・監禁および恐喝行為を行い、Kさんは、それを共謀したという疑いをかけられ、逮捕された。

解決への流れ

Kさんはかつて小さな暴力団組織に所属していたが、1年程度で脱退し、逮捕当時は、大工をしていた。Kさんは、逮捕当時、関東に住んでいたが、大阪府警の、暴力団を担当する捜査4課に逮捕された。捜査4課は、組員に対してはいろいろな手を使うが、Kさんは、共謀を否認していたため、刑事から取調べ時に暴行を受けた。Kさんと接見して、その暴行の事実を知った私は、直ちに、担当検事に抗議したが、その後も、刑事からの暴行など違法な取調べはやまなかったため、直ちに、裁判所に「証拠保全」を申し立てた。証拠保全を申し立てると、当日か翌日、被疑者が裁判所に連れてこられて、体に暴行による跡が残っていると、記録に残る。Kさんの場合、申し立てた当日中に、裁判所に連れてきてもらうことができたので、Kさんの顔に残っている殴られた跡を記録に残すことができた。そして、この証拠保全手続きの後、勾留場所を、警察の留置場から拘置所に変えてもらい、その後は、刑事による違法な取調べはおさまった。普通は、ここから捜査が続き、起訴、公判と手続きが進むが、この事件では、その後、担当検事から、「お話しがあるので、検察庁までお越しいただけませんでしょうか」との丁寧な電話があった。検察庁に出向くと、検事は、「(警察官が暴行したことを理由とする)国家賠償請求はされるおつもりでしょうか? もしされないのであれば、本件は不起訴にすることを考えます」というような話であった。つまり、不起訴にするから、国賠請求をしないでほしい、という「取引」であった。私は、Kさんと相談し、その「取引」に応じることとした。そうして、Kさんは釈放され、自由の身となった。

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中西 哲也 弁護士からのコメント

これも、頻繁な接見により、違法な取調べをすぐに発見し、検事への抗議、速やかな証拠保全申し立てによって、暴行の痕跡を証拠に残せたことが、不起訴という成果につながった。やはり捜査段階での充実した弁護活動、こまめな接見が重要である。