この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
ある会社の経理業務は、その一端が外部の税理士事務所の従業員によって担われていましたが、その従業員が会社の預金を不当に引き出して重大な損失を会社に与えました。
解決への流れ
まず、取り掛かったのは、刑事告訴です。こちらは無事に受理されました。また、これに次いで、当の従業員、税理士事務所の代表社員、税理士事務所自体を被告として訴訟提起しました。結果として、和解によって大きく被害回復が実現しました。
刑事告訴は、会社代表者の忠実義務の履行としての位置づけもあり実施しました。必ずしも刑事告訴が必要なわけではありませんので、事案に即して柔軟に検討する必要があります。損害賠償請求につきましては、税理士事務所と代表社員の両方を加え、履行可能性を確保しました。横領行為を行った当人には資力がないことが一般的ですので、第三者に対する責任まで広げていくことができる法理を検討することは、横領事件や詐欺事件では非常に重要です。本件では、会社側の初動として、他の弁護士に対応を依頼し、安易に和解書を締結したことから、裁判上、厳しい戦いを強いられました。解決水準としては、依頼者である会社代表者の十分に納得のいく水準を得られましたが、この点でも初動の重要性を痛感しました。