この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
妊娠中のご相談者様が,おなかのお子さんの父親である交際相手から交際関係を破棄されたのだという事案でした。実家を交えた話し合いをしてもまとまらず,大変精神的に追い詰められた状況でご相談に見えられました。
解決への流れ
ご相談者様は精神的に不安定な状況となりましたが,窓口を弁護士とすることで,先方とのやり取りを整理することができました。しかし,認知に際して相手方がDNA鑑定を求めてきたことや,相手方が交際関係の破棄についても不誠実な対応をしたことから,やむを得ず訴訟を提起しました。調停を経て,認知を受け,生まれたお子さんの養育費の支払は受けられましたが,交際関係破棄についての対応を求めたかったのです。和解条項では,交際関係の破棄についての謝罪や解決金の支払のほか,生まれたお子さんへの支援などについても盛り込むことができました。
訴訟では,ご相談者様の力になりたいという友人の方々の協力も得ることができたこともあり,資料は多くありました。一方で,ご相談者様の精神的負担や,生まれたお子さんの今後の生活のことも考えると,判決に至るよりは,和解にて解決するということが重要であろうと考え,和解を選択しました。特に,結婚に至らずに生まれたということについて,お子さんが将来どのようにとらえるだろうか,ということも考え,和解条項には特別に条項を入れるなどしています。具体的には,お子さんが望まれて生まれてきたのだということを盛り込むことが重要でした。弁護士報酬にはならない条項であっても,お子さんの残り数十年の人生にわたる分かれ目です。家族の問題が,当事者だけではうまくまとまらないのは,お金の問題だけではなく,精神的な問題が大きいからだろうと思います。弁護士として,家族が穏やかに生活していくための仕事ができた案件だったと思います。