この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
飲食店の店長をしていた方が,毎日朝から深夜まで働いているのに,残業代が全く払われていないということで相談にこられました。この飲食店には,タイムカード等労働時間を証明する資料が全くなく,残業時間をどこまで立証できるかが争点になると予想される事案でした
解決への流れ
依頼者様は,通勤中や残業中に,スーパー等で買い出しに行っており,そのレシート(購入時刻の記載あり)が一部残っていましたので,そのレシート記載の購入時刻から残業時間を逆算して,残業代を訴訟にて請求しました。会社は,依頼者様が労働者でないなどと主張しましたが,その主張も裁判所はあまり取り合わず,結果的に約100万円の解決金で和解をしました。
今回の依頼者様のように,飲食店の従業員や店長の方の残業代の相談も多い印象です。飲食店の業務の性質から,週6以上で,長時間労働を強いられている方が多い半面,残業代の未払も多い印象です。本件のように,タイムカードで時間管理がされていない事例もありますが,店の営業時間から逆算してある程度の残業時間を推計することも可能です。予め,労働時間をメモに取る,出退勤の際に家族にLINEを送る,出退勤の際に会社の時計の写真を撮るなど,証拠の確保に努められるとなお万全です。今回の会社が行ったように,「飲食店の店長は労働者ではない」という主張は,簡単には認められないので,ひるむ必要はありません。飲食店勤務の方は,一度,ご自身の残業代がきちんと出ているか確認された方がよいと思います。