犯罪・刑事事件の解決事例
#給料・残業代請求

解散した会社に対する残業代請求を取締役らに請求し回収した事例

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中川 匡亮 弁護士が解決
所属事務所名古屋第一法律事務所
所在地愛知県 名古屋市中区

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

依頼者は,風俗関係の事務方の仕事をしておりましたが,かなりの長時間労働があるにもかかわらず,残業代が全く支払われていないということで,退職後に相談にお越しになりました。

解決への流れ

残業代請求を求める内容証明を送っても,何の反応もないため,訴訟を提起したところ,会社は一切出頭せず,全額認容判決が出ました。しかし,後になって,会社が解散していることが分かりました。もっとも,解散後の会社は同じような法人を立ち上げ,従業員もそのまま使って解散した会社と同種の営業をしていました。そこで,解散前の会社の取締役全員,新会社,新会社の取締役全員を相手取り,残業代未払いにつき取締役らの責任追及をするとともに,新会社については旧会社と実質的に同一の法人だと主張し(法人格否認の法理と言います),新たな裁判を起こすことになりました。この裁判になって,取締役らにも弁護士がつき,法人の同一性などが中心に争われましたが,結果的に,新会社や取締役らが連帯して250万円の残業代を払うという和解が成立しました。

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中川 匡亮 弁護士からのコメント

本件では,残業の実態自体はある程度証拠がそろっていましたが,相手の法人の財産状況が不明であったため,回収に困難がある事例でした。会社側は,法人を解散させるという強攻策で対応してきました。新しく設立された新会社への責任追及には,法人格否認の法理という高いハードルをクリアしないとならず,簡単にはいかないことが予想されました。他方,残業代不払いにつき,一定の場合には,不払いにした取締役も責任を負うという裁判例があります。これらを利用して,新会社だけでなく,旧会社,新会社の取締役全員も相手取って裁判を起こしました。取締役自身が被告になったことに焦ったのか,このときになって,会社(取締役)側も弁護士を付けて,逃げずに裁判に対応してきました。新会社や取締役らの資力が不明であったということから,ある程度,解決金額の譲歩を余儀なくされましたが,結果的に250万円というまとまった金額を回収することができました。資力に不安があるような会社に対する残業代請求を行う場合,取締役の責任追及も併せて検討すると,交渉が有利に進み得る場合があることがよく分かる事例になったと思います。