この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
相談者の父が死亡し、父が住んでいた自宅等の遺産があり、遺産分割をする必要がありました。父の自宅を掃除しにいくと、遺書とかかれた封筒が見つかりました。また、父には前妻との間に子がいて、その方とは連絡をとったこともないので、自宅を売却することもできずに困っています。
解決への流れ
戸籍を収集して相続人調査を行い、前妻との間の子の住所も調査しました。遺書と書かれた封筒については、家庭裁判所に遺言書の検認(家庭裁判所での相続人の立ち合いのもとで遺言書を開封する手続き)を申し立てましたが、その遺言書には財産の分割方法等については触れられていませんでした。同時に、判明した前妻との間の子の住所に事情を説明する手紙を送りましたが、応答がありませんでした。そこで、やむを得ず、遺産分割調停を起こしたところ、前妻との間の子が裁判所からの呼出には応じて、遺産分割に関する話し合いを開始することができ、結果的に自宅不動産を売却して売却代金を分割するという内容の遺産分割ができました。
公正証書遺言(公証人役場で作成した遺言)以外の遺言は、家庭裁判所で遺言書の検認をしなければなりません。遺言の効力に影響はありませんが、検認をせずに勝手に開封すれば過料の制裁があるのでご注意ください。前妻との間の子、愛人との間の子で認知されている子は、相続人になるので遺産分割協議に参加してもらう必要があります。しかし、そのような方とは、交流がなく、どこに住んでいるのかもわからないことが多いかと思います。戸籍等の公的資料をたどれば、現在の住所地を調べることはできますが、判明した手紙を送っても望ましい回答が得られないことも多いと思われます。弁護士が介入して事情を説明することでスムーズに解決ができるケースもありますが、今回のケースのように遺産分割調停で裁判所に介入してもらって解決しなければならないケースもあります。