この事例の依頼主
10代
相談前の状況
非行の内容は、成人であれば裁判員裁判の対象となる事件であり、少年院送致も十分にあり得るものでした。少年は、観護措置により身体の拘束を受ける直前に就職をしており、仕事にはまじめに取り組んでいました。しかし、少年を十分に監督できる家族・親族はおらず、少年を社会内で見守ることのできる環境が整っていませんでした。
解決への流れ
少年に対しては、十分な時間をかけて事件の振り返りをすることで内省を促しました。一方で、少年が少年院ではなく、社会内での更生が可能となるよう、社会に帰ってきたときの受け入れ先の調整に労力を割きました。少年の事件に対する内省が深まったこともあり、少年の雇用主が尽力してくれ、少年の食事・住居の手配や職場で少年を見守る環境を整えてくれました。これにより、最初の審判では試験観察となり、少年が社会の中で雇用主の下で働きながらまじめに生活できるかを見極める時間が与えられました。少年は、試験観察の期間中、大きな過ちを繰り返すことなく仕事に取組み、最終的に保護観察の処分となりました。これにより、少年は、少年院に入ることなく社会に戻ってやり直す機会を得ることができました。
少年事件では、非行の内容のみならず、再非行が繰り返されることがないように少年が戻ってこれる環境を整えることが大事になります。この事件では少年自身がまじめに仕事に取り組んでいた期間があったからこそ雇用主の協力が得られたものですが、弁護士は少年を支える環境調整のためのコーディネーターの役割を果たすことができます。家族のみで抱えるのではなく、ぜひ弁護士や関係者を巻き込んで方法を探し、少年のための最善の利益を見つけてあげてください。