犯罪・刑事事件の解決事例
#相続人調査

戸籍から相続関係図を作成した例

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名取 孝浩 弁護士が解決
所属事務所古淵法律事務所
所在地神奈川県 相模原市南区

この事例の依頼主

男性

相談前の状況

相談者の方は戸籍等を取り寄せされたようなのですが,親族関係が複雑すぎるため,法定相続分の計算がわからないという話でした。

解決への流れ

この件,いわばお祖母さまが孫(亡くなられた方)を自分の養子にしたという例でした。亡くなられた方にはお子様がおらず,お父様お母様も亡くなられていましたから,法定相続人は兄弟のみなのですが,ご自身の兄弟の他,養子になった関係で,ご自身の大おじ・大おば様方もご兄弟として法定相続人になりました。相続関係図に載せる方も少ない人数ではなく,かなり大きな相続関係図となりましたが,法定相続分を計算しました。それ以上の依頼はございませんでしたので,そのまま終結としています。

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名取 孝浩 弁護士からのコメント

かなり珍しい例で,戸籍は取り寄せたけれども法定相続分の計算が難しい,とのご相談でした。しばらく前なので記憶がはっきりしないのですが,どこかの士業の方に任せて取寄せてもらったけれども計算に自信がないと言われたので計算してほしい,というお話だったかと思います。ちなみに本当にそれだけの業務で終了しております。従ってその後どうなったかは存じません。別の項目でも書きましたが,戸籍の取り寄せ自体は,書類仕事に慣れている一般の方であれば問題なくできます(但し面倒です)。士業の先生であれば取り寄せることは容易です。ただ,それを正確に読み取って相続分を計算するとなると,場合によってはレベルが跳ね上がります。実は法定相続分は「どこにも」書いていません。戸籍の内容を照らし合わせて,相続関係図を作成し,そこから法律に基づいて法定相続分を計算するわけです。今は法定相続情報証明制度という制度があるので,この制度を使うと,相続関係図に誤りがないかどうかは事実上チェックできます。しかし法定相続分の記載はありませんから,チェックできません。本件のように,二重の資格をもって相続に係わる人を二重資格者と言います。特に親族と養子縁組をした場合に起こります。たとえば伯父の養子になった人が亡くなった場合,実子としての立場と,養子としての立場両方の立場で被相続人となり,それぞれに法定相続人が生じます。これは亡くなった方が二重資格だった場合です。これとは別に相続人が二重資格のこともあります。例えば祖母が孫を養子にしたとき,孫の親が先に亡くなって,後から祖母が亡くなったような場合のなどです。ただ,相続人の二重資格は,基本的には重複する資格同士が同一順位でないといけないので,先の伯父の養子になった人の場合に伯父が亡くなっても,同順位の資格ではないので(子と兄弟の代襲相続人),相続人の二重資格者にはなりません。実はこの二重資格者の法定相続分,恐ろしいことに民法には計算方法が明記されていません。一つ一つの資格での計算は民法上に定めがあるのでできるのですが,二重資格としてまとめるとどうなるかは明確な規定がないのです。実はことほど左様に法定相続分の計算というのは実は簡単ではありません。こんな単純なことを訊くのは恥ずかしい,ということはありませんので,迷うことがあればご相談いただく方がよろしいかと思います。