この事例の依頼主
女性
相談前の状況
夫と離婚することについては決まっていましたが,子どもの親権者を父母のいずれにするかについては話し合うということになっていました。しかし,夫が勝手に親権者を父として離婚届を提出してしまいました。相談者様は,お子様の親権については譲るつもりはなかったことから,親権者を変更すべく,当初,親権者変更調停を申し立てていました。
解決への流れ
相談者様は,親権の変更が認められればそれで足りると考えてらっしゃいましたが,親権者の変更のハードルは決して低くないことや,離婚届を提出された経緯などからすれば,相談者様の親権者についての合意を含む,実質的な離婚意思が認められないことから,離婚自体が無効であることを争うことを助言しました。まず,離婚無効調停を起こしましたが,夫側は離婚は有効であることを前提に争い,結局調停は不成立に終りました。その後,離婚無効確認訴訟を提起しました。訴訟においては,親権者欄が白紙の状態の離婚届が夫にわたった経緯や夫婦のやり取り,親族のやり取りなど,依頼者様の実質的な離婚意思が認められないような事実関係の洗い出しを行いました。最終的に裁判所は,こちらが主張する事実関係を認定し,依頼者様の親権者の合意を含めた離婚意思はなかったとして,夫に勝手に出された離婚届による離婚は無効であることを確認しました。
離婚が有効であることを前提に親権者変更の申立てをするのか,又は,そもそも離婚自体が無効であるとして再度の離婚協議の際に親権者についても併せて協議するのか,という方針選択に悩みました。しかし,相談者様の話を聞けば聞くほど,離婚が有効であるとは思えませんでしたので,後者を選択することとしました。私と相談者様とで共通認識を持つことができ,それに即した解決が出来たので大変良かったです。