この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
本件は、夫が浮気をして、家を出た事案です。家は夫名義の戸建てで、夫が家出した後は、依頼者と子供が居住していました。夫は家出してから、約5年後に離婚調停を起こしましたが、依頼者は離婚を拒否して、調停不成立となりました。その後、夫が離婚訴訟を起こしてきた段階で、当職が相談を受けました。夫の不貞が原因で精神疾患を抱えており、長期間、稼働していませんでした。また、財産分与額を普通に計算すると、300万円程度になる見込みでした。したがって、離婚が成立して、夫名義の家から転居すると、1年以内に資金が枯渇して、生活保護を申請しなければならないという状況でした。
解決への流れ
本件は、別居後相当期間が経過しており、離婚自体は認められそうな事案でした。そこで、離婚自体は積極的に争わず、有利な離婚条件を勝ち取るという方針に転換することにしました。そして、財産分与請求の中で、依頼者の精神状態、窮状を説明したうえで、「扶養的財産分与」という性質を強調。結果として、通常の財産分与のほか、夫名義の不動産に15年間居住することを認めさせました。
夫名義の不動産から転居した場合、ワンルームマンションに転居するとしても、毎月7~8万円程度の家賃がかかります。15年の居住権を認めてもらったことで、その間の家賃が不要になりました。依頼者が精神的な疾患から回復し、稼働できるようになるまでの猶予が得られたと考えています。