この事例の依頼主
50代
相談前の状況
ご依頼者様は、勤務先との間で有期雇用契約(期間が決まっている雇用契約、いわゆる【契約社員】です)を締結し、都度更新していましたが、ある日、突然、会社から業務縮小のため、更新しないとの通告を受けました。ご依頼者様はそれまで10回以上の更新をしておりました。いかに期間が決まっている有期雇用契約とはいえ、突然の会社の都合による更新拒絶は不当ではないか、とご依頼者様は会社と掛け合いましたが、会社側は、ご依頼者様がこれまで10回以上契約更新を続けてきたにもかかわらず、過去の仕事内容にミスがあったなどと更新拒絶が正当であると主張し、埒が明かないことから弊所にご相談に見えられました。
解決への流れ
ご相談後、会社に契約を更新するように連絡しましたが、更新しない、一切の補償に応じないとの回答でしたので、徒に協議を重ねても無駄と考えまして、労働審判を申立てました。労働審判においては、①これまで10回以上、有期雇用契約が更新されており、ご依頼者様の勤務内容にも何の問題もないこと、②これまで契約が10回以上も更新されていることからご依頼者様が契約の更新を期待することが当然であること、③会社が主張する経営状態の悪化などといった更新拒絶をしなければならないような事情もないこと、④突然の更新の拒絶にてご依頼者様の生活が不安定になったことなどを切々と裁判所に主張しましたところ、裁判所も当方の主張に理解を示して下さり、更新拒絶の案件では極めて高額の部類に入る450万円を超える解決金にて無事解決を見ました。
有期雇用契約の場合、更新をするかしないかは基本的には会社の自由ですが、更新が何度も続いている場合は、労働者も更新を期待しますので、更新拒絶には相応の理由が必要になります。よって、更新すればするほど、自由に更新を拒絶できるものではありません。無期雇用契約の社員【期限が決まっていない契約のことです。いわゆる【正社員】のことです】の解雇と同程度にまで合理的な理由が必要になる場合もあります。このように有期雇用契約であるからといって、自由に更新を拒絶できるものではありません。有期雇用契約の不当な更新拒絶を受けた方は是非ご相談ください。