この事例の依頼主
女性
相談前の状況
(相談内容)夫が死亡したが,調べてみると資産はほとんどなく,一方で複数の金融業者から借金をしていると思われる資料が見つかった。この場合,私や子供も相続人として負債を返済しなければならないのか。
解決への流れ
家庭裁判所において相続放棄の申述を行って負債を免れることが必要と相談者に対して説明を行い,相続放棄手続の代理人への就任を受任。受任後,戸籍の収集等,相続放棄の手続を準備するのと並行して,お子様の相続放棄により,次に相続人となる親御様と御兄弟に対しても連絡を行う。結局,関係者全員の承諾を得て,各自の相続放棄手続を行うことになった。最終的に無事に全員分の相続放棄が認められることができた。
相続放棄において注意しなければならないのは,ある相続人が相続を放棄した場合,初めから相続人ではなかったことになるため,今回のケースのように自分が次順位の親や兄弟が新たな相続人となってしまう場合があることです。この場合,知らないうちに被相続人の多額の負債を負わされていたという事にもなりかねないため,関係者への周知と相続放棄手続の機会を提供することが,事後のトラブルを防止するために必要な手段となります。なお,戸籍などの収集に時間がかかるような場合には,相続放棄の期間(相続の事実を知ってから3か月以内)の延長申請を行うこともあります。