この事例の依頼主
男性
相談前の状況
依頼人は、当事者間で遺産分割調停をしていたところ、調停の中盤になって、相手側から、突然、公正証書遺言が見つかった、その遺言書には「相手側にすべて相続させる」という内容の記載があると主張されました。そこで、依頼人は、私のところに相談に来ました。
解決への流れ
相手側が提出した公正証書遺言には、確かに「相手側にすべて相続させる」旨の記載がありました。また、依頼人には、推測ではありますが、公正証書が作成された経緯について納得のいかない点がありました。しかし、いずれも、公正証書遺言が無効であるとは主張しにくい状況でした。そこで、私は、直ちに、遺留分減殺請求の調停を申立てることにしました。そして、遺留分に従った金銭を受領することで和解が成立しました。
通常、公正証書遺言の有無は、公証人役場に確認すればわかるので、調停の途中で公正証書遺言が出てくるというのは極めて珍しいケースだと思います。依頼人もとても混乱していたかと思います。遺言書があっても、法定相続人(兄弟姉妹を除く)には、一定の遺産をもらう権利があります(行使しなければなりませんが)。なんとなくでもいいので、遺言書があっても、遺産をもらえるかもしれないという意識を持っていてもらいたいと思います(そうすれば、弁護士に話を聞いてみようと思うきっかけになると思うので)。