この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
官澤綜合法律事務所で解決した事案です。依頼者の方は相続人で、お父さんは、代々相続してきた自宅・農地・アパート等の多数の不動産を所有しているが、高齢で不動産の管理が大変になってきている状態でした。そして、家を継いで同居する長男である相談者に、ほとんどを相続させて家を守りたいと思っているようでしたが、なぜかお父さんは遺言嫌いでしたので、どうしたらよいか困っていると当事務所にいらっしゃいました。
解決への流れ
お父さんは、不動産の管理を相談者に任せたいとの気持を持っているとのことで、これは民事信託(家族信託)が使えるのではないかと考え、内容をわかりやすくお父さんと相談者に説明したところ、両者とも民事信託を行いたいということに。そこで、他の相続人には何をどの程度相続させたいかも聴取り、それを民事信託終了時の財産の帰属権利者に反映させ、民事信託契約書を締結して不動産の登記も行うことにより、お父さんにも相談者にも安心・満足して貰えました。なお、農地については、農地法で信託を原因とする所有権移転の許可が出ないので、贈与税猶予の特例がある農地の生前一括贈与で解決しました。
高齢者の財産管理や相続対策としては、これまでは成年後見と遺言が主なものでしたが、平成18年に信託法が大改正され、民事信託(家族信託と呼ばれる場合もあります)が、成年後見や遺言では本人の希望を実現しにくいことを実現できる対策として注目されています。この事例は、民事信託(家族信託)でうまく本人の希望をかなえられたもので、御家族にも喜んでもらえました。ただ、民事信託(家族信託)は、成年後見や遺言と比べてどのような信託にするか等一般の方には難しいので、早めに詳しい弁護士にご相談されることをお勧め致します。