この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
女性Kさんが職場の上司とともに相談に来られました。Kさんは、夫から暴力や暴言を受けており、離婚を考えていました。また、数年前にペアローンを組んで自宅を購入しており、離婚の際にそのローンをどのように処理にするのかについても悩んでいらっしゃいました(自宅の価値よりもローン残額の方が多い状態でした)。
解決への流れ
暴力や暴言に関しては、傷の写真や診断書、録音を持っていましたので、相談を受けたその日のうちに、上司と3人で自宅近くの警察署を尋ねてDV相談をし、万が一の危険があるときにはすぐに駆け付けてくれるよう要請しました。そして、Kさんにはこのまま自宅に戻らず実家で生活するようにしてもらいました。次に、裁判所に保護命令の申立てを行い、夫が一定期間Kさんに接近しないよう命令してもらうことで、Kさんの安全を図りました(夫が命令に違反した場合は、刑事罰が科されます)。このようにKさんの安全を確保した上で、家庭裁判所に離婚調停を提起し、夫と離婚協議を開始しました。当方はDV被害について刑事告訴も辞さない考えであり慰謝料の支払いを求める姿勢をもって調停に臨みました。半年ほど調停が続いた後、最終的に、夫がKさんの自宅持ち分を引き受けるとともに、新たにローンの借換えてペアローンを清算する旨を表明しました。これに呼応して、Kさん側は、夫がKさんのオーバーローン状態を負担する代わりとして、Kさんが夫に有する慰謝料を相殺するような形で、離婚が成立しました。
夫のDVへの対応では、Kさんの上司や職場も積極的に安全確保に協力してくださったのが幸いでした。ペアローンの整理は複雑ですが、弁護士が入ることで双方冷静に交渉することがメリットです。